クワイ河鉄橋
場所:タイ、カンチャナブリ(KANCHANABURI)
形式:下路トラス(ボーストリングトラス8径間、中央の2径間は平行弦ワーレントラス) 建設:1943年
タイの首都バンコクから電車で西へ約3時間の地点、タイ国鉄ナムトック線がクワイ川(KWAI)を
渡る地点に架かっているのが、クワイ河鉄橋。映画「戦場に架ける橋」の舞台となった鉄道橋である。
ナムトック線は旧名称を泰緬鉄道といい、タイからビルマ(現在のミャンマー)への物資補給路として、
太平洋戦争中に日本軍が建設したもの。泰緬とはタイ(泰)とミャンマー(緬甸)を結ぶことから命名された。
↑クワイ河鉄橋(右岸から) 開通当初はボーストリングトラスによる11径間の鉄橋であった。 しかし、太平洋戦争末期に連合軍の空爆によって、橋の一部が 破壊されたため、中央の2径間は1948年にポニーワーレントラスで 修復されている。3径間を2径間へ改造してあるので、この部分だけ スパン長が大きい。クワイ河鉄橋は連合軍の捕虜や地元民を 動員して、過酷な条件のもと、突貫工事で建設された。 鉄橋のすぐ近くにはカンチャナブリ戦没者霊園がある。 |
↑泰緬鉄道で使われていた機関車 クワイ川鉄橋の近くには、C56形蒸気機関車が 保存されている(実際に走ることはなく、静態保存)。 これは日本から輸送されたものだという。 |
↑ポニーワーレントラス(中央の2径間) 斜材と垂直材はシングルレーシングで、格点の結合は ガゼット。列車は1日に3往復しかないので、鉄橋の上を 歩いて渡れる。これはタイ国鉄も公認しているようで、 軌道の間には鋼製の歩道が設けられている。 橋脚付近には歩行者用の待避所らしき空間もある。 |
↑ボーストリングトラス スパン長は約20m、中央部の桁高は約2m。 現況はダブルワーレントラスとなっているが、 これが建設当初からの形式なのかは不明。 格点はピン結合ではなく、リベット結合。 物資不足の時代を反映した素朴なトラスだ。 |
[鉄道橋]へ戻る