安戸落逆止堰

 所在地: 中川、埼玉県春日部市八丁目〜樋篭  建設:昭和6年(1931)4月竣工

 安戸落逆止堰(呑み口:安戸落の上流から)
↑安戸落逆止堰(呑み口:安戸落の上流から)
 安戸落が中川の右岸へ合流する地点に設けられた、
 逆流防止水門。コンクリートで改築される前は
煉瓦造り
 (明治28年竣工)。現地には煉瓦造とコンクリート造の2つの
 水門の竣工記念碑が建てられている。碑文によれば、
 現施設を建設したのは、安戸落悪水路普通水利組合
 (管理者は八代村長)、設計は埼玉県。昭和5年12月28日に
 起工し、6年4月30に竣工している。堰の天端には転落
 防止用の柵(RC造、14cm角、高さ58cm)が設けられている。
   安戸落逆止堰(吐き口:中川の右岸から)
  ↑安戸落逆止堰(吐き口:中川の右岸から)
   この付近の中川は、大正7年(1918)から昭和3年(1928)に
   かけて実施された国営(内務省直轄)の庄内古川改修事業の
   付帯工事で近代改修がなされた。安戸落逆止堰は中川の
   改修後に設置されている。改築記念の題字が内務省土木局長
   丹羽七郎なのもその関係だろう。安戸落逆止堰の通水断面は
   幅3.6m、高さ2.5mの2連であり、当時のRC水門としては
   かなり大きい。大きな改修はなされてなく、
   竣工当時そのままの形態で残っている。

 吐き口側の面壁
↑吐き口側の面壁
 面壁の上部には金属製の銘板が2つ(施設名と
 竣工年)付けられている。面壁から中川に
 向かって張り出した部位はゲートの操作台だと
 思われる。吐き口側の水切りは曲面に
 加工された石造り。

   面壁と翼壁の接合部(吐き口側)
  ↑面壁と翼壁の接合部(吐き口側)
   ゲートは残されていない。翼壁の接合部に溝があり、
   内部には鉄板が貼り付けられている。ただし、
   溝の上部は開放されていない。ゲートの形式は
   角落しだったと思われるが、通水断面の幅が3.6mも
   あるので、人力ではめ込み操作が可能だったかは疑問である。

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