福川鉄橋 (その2)

 撮影地:埼玉県深谷市原郷

 福川鉄橋の古レール
 ↑福川鉄橋の古レール
  レールの断面は非常に小さい(I字形の高さ98mm、底幅85mm)
  日本煉瓦製造(株)所蔵の資料には、[れーるは英国へ注文した]と記されている。(→注1)
  しかし、SJC - 92 - KTK - 1894 の刻印がある。表記内容を解読すると、(→注2)
  SJC(Socie'te' de John Cockerillの略:ベルギーのジョーン・コッケリル製鉄所の関連らしい)が
  1894年に製造で、依頼主は、KTK(釧路鉄道、川越鉄道、甲武鉄道、関西鉄道、九州鉄道、...)
  このKTKは、川越鉄道(埼玉県:1894〜1911)ではなく、甲武鉄道(渋沢栄一が関連している)であろう。
  甲武鉄道(1889〜1906)は、民間の鉄道会社で、現在の中央本線の前身だそうだ。
  川越鉄道の建設工事は甲武鉄道によっておこなわれ、営業も実質的には甲武鉄道が管理していた。(→注3)

  余談だが、鉄道関連でSJCを調べると、サンノゼ・カリフォルニア(笑)と英国の合弁(鉄道)会社が見つかる。
  (LSWR:London & South Western Railway と Midland Railway による合弁)。
  SJCは経営危機に陥っていた Somerset & Dorset Railway の路線を賃借して、1875年に開業。
  →
The Somerset & Dorset Railway Trust (http://www.sdrt.org.uk/)


 避溢鉄橋(ボックスガーダー橋)の桁
 ←避溢鉄橋(ボックスガーダー橋)の桁

 (画像は180度回転)
 ボックスの表面には、<S> K 250×125 の刻印がある。
 <S> は富士製鉄のマークだと思われる。
 富士製鉄は、1970年に八幡製鉄と合併して
 新日本製鉄となった。

(注)本ページの記述は、古レールのページ(http://homepage1.nifty.com/arashi/)を参考にさせていただきました。
   同HPの主催者、嵐氏には SJC についてのご教示をいただきました。この場を借りて感謝いたします。
参考
文献
 (1)埼玉県史 資料編21,埼玉県,1985,p.289
 (2)レールの趣味的研究序説〔再補・下〕,西野保行・淵上龍雄,鉄道ピクトリアル,no.385(1981年1月号),p.62-67
 (3)埼玉の鉄道,老川慶喜,埼玉新聞社,1982,p.100

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