森下堤

 所在地:埼玉県南埼玉郡菖蒲町小林〜下栢間

 森下堤は栢間赤堀川の旧堤防。森下浄水場の東側にあり、栢間赤堀川の左岸堤防に
 接続する形態となっていて、現在は県道312号線までの約400mが残っている。

 武蔵国郡村誌(明治9年の調査を基に編纂)の埼玉郡栢間村(12巻、p.241)に
 ”赤堀川の囲ひにして村の北方 小林村界より東方柴山枝郷に至る
  其間千九百四十間 馬踏二間 堤敷五間 修繕費用民に属す”と記されている。
 赤堀川(栢間赤堀川)の囲堤だが、その規模は長さ約3.5Km、堤防天端幅3.6m、
 堤防敷の幅9.1mなので、かなり大きい堤防だったことがわかる。
 栢間赤堀川の現在の左岸堤防を、森下堤と称していたのかもしれない。

 明治時代頃の河川の堤防は一般的に水除堤とよばれるのだが、森下堤は囲堤と記されている。
 森下堤の下流側にはかつて栢間沼が広がっていたので、森下堤の起源は
 栢間沼への悪水の流入を遮断するために設けられた締切り堤防であろう。
 同時に下栢間村へ悪水が流入してくるのを防ぐための村囲堤だったと思われる。

 森下堤(東側から)


 森下堤(東側から) 菖蒲町小林
 稲穂通り(広域農道)から撮影。
 手前から奥に向かって延びているのが森下堤。
 写真の奥で栢間赤堀川の左岸堤防へと接続している。
 背景の森は神明神社の社叢林。
 参道の延長線上には天王山塚古墳(全長107mの
 前方後円墳)が位置する。
 森下堤の堤防天端はアスファルト舗装されていて
 町道となっている。現在の天端幅は3.5m、堤防高は2.5m。

 森下堤(西側から)
 森下堤(西側から) 菖蒲町下栢間
 栢間赤堀川の左岸堤防付近から撮影。
 写真の上部が森下浄水場。

   
森下堤(南側から)
   森下堤(南側から) 菖蒲町下栢間
   写真の右上が稲穂通り。森下堤の北側には排水路が
   並行していて、最後は栢間赤堀川へ合流している。
   南側には水田が広がる。るが、
   この付近の標高は20mくらいである。

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