樋上1号橋 (仮称、ひのうえ)

 場所:忍川、埼玉県行田市樋上58  建設:昭和8年(1933)  〜 樋上1号橋の詳細
 形式:鋼アーチ橋(古レール使用。上路式、3径間連続補剛アーチ:3.7m、5.9m、3.7m)
 規模:全長 15.5m、幅 2.5m、欄干高 0.28m (全長は歩測、幅は欄干を除く、欄干高は橋面から)

 忍川には、古レールを使ったアーチ橋が7基(三連 5、一連 1、水管橋 1)残っているが、
 そのなかでも、最も建設時の形をとどめているのが、この橋である。
 使われている古レールには刻印があり、製造:カーネギー社(1907年)、発注者:官鉄(鉄道局)、
 であることがわかる。鉄道国有法が公布(1906年)された翌年に製造されたレールである。

 (注)本ページの画像は、Nikon COOLPIX 995 (334万画素)で撮影しました。

 樋上1号橋
↑樋上1号橋(右岸上流から)
 樋上水管橋から30m下流、樋上2号橋(写真上部)の
 100m上流に位置する。忍川の左岸側は微高地なので
 民家が点在し、右岸側は沖積低地で水田が広がる。
 ここから東へ500m(写真の左方向)には武蔵水路が流れ、
 西1Kmには、ものつくり大学がある。
 本橋は農道橋であるが、車も通行できるようだ。
 ただし、左岸側は一般道路とは直結してないので、
 橋へ行くには忍川の管理道路(堤防)を通る必要がある。
   アーチリブ
   ↑アーチリブ(右岸から)
    ほとんどの部材が古レールである。
    ただし、床版(橋面のコンクリート)の下の横桁には、
    L字形鋼が使われている。部材の結合はリベットではなく
    ボルトナット!なので、溶接箇所は見当たらない。
    各スパンのアーチリブには、一本のレールを曲げたものが
    使われている。主桁は長さ15mの古レールである。
    使われている古レールは、全部で15本程度(縦桁を含む)

 
床版と欄干
↑床版と欄干(左岸上流から)
 床版はスラブ(鉄筋コンクリートの1枚板)ではなく、
 古レールの上にコンクリートの板を62枚並べてある。
 欄干(地覆)はシンプルで、爽やかなデザイン。
 橋の中央付近には、中柱のような意匠が施されていて、
 遠目にはアーチの要石のように見える。
この意匠
 昭和初期に埼玉県で建設された土木構造物に顕著なもの。

   
橋脚
   ↑橋脚(右岸下流から)
    橋脚は門形(コンクリート節約のためであろう)で、
    昭和初期を偲ばせる、古いコンクリート製。
    (表面には砂利や砂が浮き出ている)

戻る:[古レールのアーチ橋] [アーチ橋の分布図]  忍川の古い橋:[上流へ][下流へ