利根川橋 (その1) その2

 場所:利根川、茨城県古河市中田〜埼玉県北葛飾郡栗橋町北二丁目
 形式:下路トラス橋(17スパン:左岸から鋼桁4連+平行弦ポニーワーレントラス9連+曲弦ワーレントラス4連)
 建設:大正13年(1924)  長さ640m(主径間の曲弦ワーレントラスはスパン長61.8m)

 利根川橋が架かるまで、この地点の渡河は渡し(渡船)だった。房川(ぼうかわ、ぼうせん)の渡や
 中田の渡しと呼ばれていた。明治9年(1876)の調査を基に編纂された武蔵国郡村誌の
 葛飾郡栗橋宿(14巻、p.424)に、その記述がある。
 ”房川渡:陸羽街道に属し 宿の東方 利根川の上流にあり 渡船五艘 官渡”とある。
 陸羽街道とは日光街道のことである。さらに古くは鎌倉街道の中道であった。

 利根川橋  ←利根川橋(右岸上流から)
 利根川橋は、関東大震災(1923年)後の道路整備事業の一環として、
 内務省直轄によって、日光街道に建設された道路橋。
 大正8年に公布された道路構造令を適用した最初の橋である。
 たぶん、利根川に架かる一番古い橋でもある。
 しかし、いまだに現役で国道4号の上り線(2車線)である。
 利根川橋の上流には、下り専用の橋(利根川橋、昭和41年竣工)が架かる。

 本橋は、過去に数度の改修を受けているようで、
 左岸側の4スパンは橋桁・橋脚の形式が異なる。
 橋桁はトラスからプレートガーダーに変更されたと思われる。
 桁には銘板(昭和25年 建設省建造)が残されている。

 本橋は、利根川の河口から、130Km上流に位置する。
 上流1.5Kmの左岸には渡良瀬川が合流している。
 利根川橋の付近(右岸側)では、利根川名物、
 全長1mを超すハクレン(コイ科の淡水魚)の
 大ジャンプ(産卵)が見られるという。 →
栗橋町観光協会のHPへ

 橋脚と桁
↑橋脚と桁
 橋脚はコンクリート製(断面は小判形)で、
 上に凹の形の柱が乗っている。
 柱の側面には石が貼られている。
 桁のトラスは横河橋梁(株)が製作。
 トラス同志はピンで結合されている。

   利根川橋(右岸の橋詰から)
 ←利根川橋(右岸の橋詰から)
 親柱は建設当時のものと思われる石貼り。
 当初は橋灯が設けられ、
上武大橋の親柱
 似た巨大なものであった。→文献2、p.68
 写真右の親柱は高さが低い。
 (自動車が衝突したのだろうか)
 橋詰めには、建設当時のままと思われる、
 石造りの柵も残っている。
 (状態は右岸の方が良い)
 なお、利根川橋は大利根橋と
 呼ばれていたこともあるようだ。

   橋台と支承部
 ←橋台と支承部(右岸)
 橋台はコンクリート製。
 橋台の天端と支承部には、
 笠石(花崗岩製?)が貼られている。
 桁は2点で支承されていて、
 支承方式はゴムだと思われる。
 改修時に変更したのであろう。

 一方、左岸のプレートガーダーは、
 主桁が4本あり、4点で支承されている。
 左岸の橋詰にある碑には、昭和44年に
 補強工事が実施されたと記されている。
 なお、主径間は井筒基礎、側径間は松杭基礎。

参考文献: (1)日本の近代土木遺産、土木学会、丸善、2001(→日本の近代土木遺産のオンライン改訂版
       (2)日本の橋(増訂版)、日本橋梁建設協会、朝倉書店、1994


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