伊佐沼堰

 場所:旧・赤間川、埼玉県川越市伊佐沼
 形式:コンクリート桁橋(3スパン)、長さ 5.4m、幅 0.7m 建設:昭和6年(1931)4月

 伊佐沼堰の併設橋  ←伊佐沼堰の併設橋 (下流から)
 伊佐沼堰は旧・赤間川に設けられた農業用水の取水堰。
 竣工からわずか7年後の昭和13年(1938)には
 新赤間川(新河岸川)が掘られ、伊佐沼堰の
 代替施設として
田谷堰などが建設されている。
 旧・赤間川はこの地点から500m下流で、鴨田排水支線に合流する。
 鴨田排水は伊佐沼南端の排水路(
大樋圦)と合流して、
 一級河川 
九十川(新河岸川の支線)となる。

 伊佐沼堰の併設橋は堰の管理橋を兼ねた素朴な造りである。
 橋の構造は、堰柱の上に設けられた3径間連続桁。
 単なる床版(厚さ15cm)で地覆すら設けられていない。
 今では農作業をする人がたまに渡る程度だという。

 写真上部に見えるのは県道51号川越上尾線(旧・上尾街道)。
 新河岸川の水運が盛んになるまでは荒川の
平方河岸
 川越街道(現.国道254号)とを結ぶ重要な街道であった。

 伊佐沼堰
↑伊佐沼堰 (上流から)
 田園地帯の中で異彩を放つモダンなデザインの堰である。
 伊佐沼堰は赤間川の右岸から伊佐沼用水(農業用水)を
 取水していたが、今は使われていない。現在は農業用水の
 取水先は、伊佐沼代用水路(入間川の
萱間堰から取水)に
 変更されている。

   門柱と堰柱
  ↑門柱と堰柱
   本施設の最大の特徴である3連アーチの門柱。
   デザイン的には優れてはいるが、ゲート操作には邪魔だと思われる。
   堰柱の先端には鋭角的な水切りが設けられている。
   ゲート(幅1.6m)の形式は
角落しで、戸当りには金属板が嵌めこまれている。
   併設橋の桁側面には施設名と竣功年が刻まれている。

追補:伊佐沼堰は土木学会の[日本の近代土木遺産]に選定された。
 →日本の近代土木遺産のオンライン改訂版、書籍版は日本の近代土木遺産(土木学会、丸善、2005)。


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