玉野用水取入樋管 (玉野橋)

 所在地:酒巻導水路、埼玉県行田市桜町一丁目〜二丁目  建設年:昭和8年(1933)
 玉野橋:コンクリート橋(T形桁2径間連続 or 2連アーチ) 長さ 4.2m、有効幅 5.6m(建設当初から約2m拡幅されている)

 玉野用水取入樋管
 玉野用水取入樋管(呑み口)
 酒巻導水路から玉野用水へ分水する樋管(分水工)。
 通水断面の形状は、2連のアーチ。木製(幅1.5m)の
 スルースゲートが2門装備されている。呑み口側には
 ゲート操作台と思われる張り出し部が設けられている。
   取入樋管の堰柱天端
   取入樋管の堰柱天端
   元荒川改修事業で建設された水門は、堰柱の天端に
   イオニア式を連想させる、渦巻き状の柱頭装飾が施されて
   いるものが多い。本施設は例外であり、小鳥のオブジェが
   置かれている。なお、下流側の桁側面には、
   ◇のレリ−フと(玉) (乃)と記された装飾が施されている。

併設された玉野橋
併設された玉野橋
取入樋管の上には、玉野橋が設けられている。
玉野橋の主桁(3本)は樋管の柱の上に置かれている。
橋梁形式は樋管の柱を橋脚だと考えれば、
2径間連続の桁橋、樋管の柱を基礎だと考えれば、
2連のアーチ橋となる。
玉野橋は、上流と下流で欄干の形状が異なる。
下流側の欄干は昭和38年に玉野橋が拡幅された時に
全面的に改築されたようだ。

   
上流側の親柱と欄干
   上流側の親柱と欄干
   
 親柱と欄干の表面には、擬石調の化粧が施されている。
   親柱(33cm角、高さ90cm)の天端付近には、歯状の装飾(デンティル)、
   側面には三菱に似たレリーフが付けられている。
   下端は台座を意図した形状であり、橋詰に向かって張り出している。
   同様の形状は
大和橋(星川、埼玉県行田市)でも見られる。
   欄干の開口部は他に類の無いレンズ形、中央には
   ゴシック調の花びらの装飾が施されている。
   これは
新佐賀橋(元荒川、北足立郡吹上町)とほぼ同じもの。

追補:玉野用水取入樋管は土木学会の[日本の近代土木遺産]に選定された。
 →日本の近代土木遺産のオンライン改訂版、書籍版は日本の近代土木遺産(土木学会、丸善、2005)。


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