誠之堂_ 本ページの画像は、NIKON COOLPIX 995334万画素)で撮影しました。

 場所:埼玉県深谷市高畑、大寄公民館の敷地内 建設:大正 5年(1916) 設計:田辺淳吉

 誠之堂(せいし)は、第一銀行(現.第一勧銀)の保養地内に、渋沢栄一の喜寿を記念して建てられた。
 取り壊しの危機に瀕していたが、平成11年に東京都世田谷区から深谷市の大寄公民館の敷地へ
 移築された。解体・復元工事を担当したのは、かつて田辺淳吉も所属した清水建設。
 深谷市は渋沢栄一の生誕地であり、誠之堂に使われている煉瓦も深谷市の
日本煉瓦製造(株)
 生産したものであるので、実に80年ぶりの里帰りともいえる。

 誠之堂
↑誠之堂
 煉瓦造りの平屋、建坪 112m2、屋根はスレート瓦。
 小さな建物だが、手の込んだ装飾が施されている。
 移築のさいには、建物を搬送可能なサイズに
 切断したそうである。外壁をよく見ると切断の跡が
 確認できる。
  煉瓦の積み方
 ↑煉瓦の積み方
  煉瓦積みは
フランス積み
  
鼻黒煉瓦(小口面が焼過の
  煉瓦)も使われているので、
  形がいびつな物が目立つ。
  ポリクロミー(色の違った
  煉瓦で様々なパターンを
  表現)がなされている。
  破風と風見鶏
 ↑破風と風見鶏
  破風に飾られた紋は、一見すると
  日本煉瓦製造の社紋に似ている。
  屋根に乗った塔は臭い抜き?
  風見鶏は復元資料を基に新設したもの。
  方位の文字は西洋風のNEWSではなく、
  和風の東西南北。
  しかも書体は篆書(てんしょ)風である。

 濡れ縁
↑濡れ縁
 イギリスの農家風のたたずまい。柱と梁は木材で
 作られている。写真左の縁の下には、上敷免製と
 記された
刻印煉瓦を確認できる。日本煉瓦製造の
 深谷工場が生産したことを示す証しである。

   誠之堂の中
  ↑誠之堂の中
   壁と天井の漆喰は塗り直したもの。天井はリブヴォールト
   だろうか。写真中央の暖炉の上には、渋沢栄一のレリーフが
   はめ込まれている。暖炉の両脇の窓には
ステンドグラスで華麗な
   装飾が施されている。壁には煉瓦を使って
喜寿の文字が表現されている。

 参考文献:誠之堂・清風亭物語、深谷市教育委員会、1999

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