矢岸歩道橋 (その1)(その2)
場所:槻川、埼玉県比企郡小川町腰越(こしごえ)
形式:ワーレントラス橋(下路平行弦、垂直材付き) 長さ39m、幅2.4m 建設:昭和46年(1971)
↑矢岸歩道橋 (右岸上流から) 県道11号熊谷-小川線の木落しバス停付近にある橋。 レトロな外観と脇にある竣工記念碑には、槻川に架かる橋、 全般の歴史が刻み込まれている。矢岸歩道橋の前身は 東矢岸橋(昭和26年建設、吊橋)。写真右端に見える、 コンクリートの門柱は、旧吊橋のタワーである。 トラスは柳町橋(大正12年建設、槻川、小川町下里)の 物を転用している。橋面は昔懐かしの板貼り。 写真集・小川、図書刊行会、1981のp.6に 東矢岸橋の写真が載っている。 |
↑矢岸歩道橋 (上流から) このトラスも滝の鼻橋(大正14年竣工、都幾川、都幾川村)や 昭和橋(昭和2年竣工、氷川、都幾川村)と同様に、 加藤鉄工所(比企郡小川町)が製造したものであろう。 トラスの高さは4.1mあり、山形鋼(L字の鋼材)を、 リベットで結合して作られている。右岸側は改修された部分が 多く、ボルト結合になっている。また、斜材部分には補強の 部材が見られるが、これは大正12年の竣工当時からの ものではなく、矢岸歩道橋の建設時に増築されたものだろう。 |
↑旧橋(柳町橋)の銘板 大正十二年六月竣功。 竣工ではなく竣功と記されて いるのが当時を偲ばせる。 |
↑トラスの下部(左岸) 縦桁は移築のさいに改修されたようである。 横構はおそらく旧橋のまま。支承方式は 橋台とトラスの間にプレートを挟んだ、 平面支承。トラスの上にはデッキプレートが 置かれ、その上に木製の板を並べ、 橋面としている。人が渡るだけでも音がする。 |
↑右岸の橋台 この橋台は東矢岸橋の頃のものだろうか。 練り石積みで、かなり古い。 しかも積まれた石は、寸法・形状が極端に 不揃いである。練り石積みは小川町に 存在する古い土木構造物ではよく見られる。 例えば槻川に架かる萬世橋、兜川の固定堰など。 |
追補:矢岸歩道橋は、土木学会の[日本の近代土木遺産]に選定された。
→日本の近代土木遺産のオンライン改訂版、書籍版は日本の近代土木遺産(土木学会、丸善、2005)。