渡良瀬川橋梁 (わたらせがわ) (その1)(その2

 所在地:栃木県佐野市船津川町〜群馬県館林市下早川田(さがわだ)
 形式:下路プラットトラス橋(2スパン)+上路プレートガーダー(15スパン) 全長396m  建設:大正3年(1914)
 設計:クーパー、シュナイダー  製作:アメリカン・ブリッジ社

 渡良瀬川橋梁は、東武鉄道・佐野線の田島駅〜渡良瀬駅間に位置する。
 渡良瀬川橋梁の架橋地点は複雑で、現在は渡良瀬川に2河川が合流している。
 つまり、渡良瀬川橋梁は左岸から才川、渡良瀬川、矢場川を跨いでいる。

 渡良瀬川橋梁(上流の左岸から)
↑渡良瀬川橋梁(上流の左岸から)
 左岸の才川と渡良瀬川を跨ぐ部分。
 プレートガーダー2スパンに、トラスが2スパン続く。
 トラスの形式は、曲弦プラットトラス(部材はピン結合)。
 橋脚、橋台は重厚な煉瓦造り。
 トラスを支える3基の橋脚は、煉瓦造りの円形ウェル。
 井筒の上にアーチ状の橋脚が建てられている。

   渡良瀬川橋梁(上流の右岸から)
  ↑渡良瀬川橋梁(上流の右岸から)
  右岸の矢場川を跨ぐプレートガーダー部分(13スパン)。
  桁には銘板が残っているが、塗装が厚すぎて、文字が読み取れない。
  しかし、下り方向にある第1菊沢川橋梁の桁と同じ形式であり、
  銘板の書式も同じなので、桁は東京石川島造船所の製造だと思われる。
  河道部分の4本の橋脚は、コンクリート製に改築されている。
  右岸堤防上には、明治辛亥年(44年?)に建立された修堤碑がある。


 トラス部分の橋脚
↑トラス部分の橋脚
 橋脚の長さは約11m、幅2.8m。アーチは煉瓦小口の
 6重巻き立てで、直径は約3.5m。橋脚に使われている
 煉瓦の寸法は、実測平均値が22
2×107×57mm。
 
作業局形であろうか。水切り(先端の尖った箇所)は、
 石を使った曲面仕上げ。積み方は算木積みである。


   
トラス部分(下から)
  ↑トラス部分(下から)
  アメリカ系のトラス橋の特徴である細い鋼材を、大量に使って
  補強がなされている。トラスを製作したとされるアメリカン・ブリッジ社は、
  米国の橋梁会社。樺島正義や増田淳もこの会社に勤務していたことがある。
  橋脚天端の笠石は、建設当初のものと思われる石造り。
  床石(桁の支承部)はコンクリートに改修されている。

(参考文献) 日本の近代土木遺産、土木学会、丸善、2001(→日本の近代土木遺産のオンライン改訂版
        日本の橋(増訂版)、日本橋梁建設協会、朝倉書店、1994


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