長楽落合橋の詳細
所在地:都幾川、左岸:埼玉県比企郡川島町長楽、右岸:東松山市早俣
武蔵国郡村誌の比企郡長楽村(6巻、p.132)に、長楽落合橋の前身と思われる橋の記述がある。
”落合橋:村道に属し村の南方 都幾川の下流に架す 長八間巾六尺 木製”
橋の長さ14.4mは長楽落合橋の約1/3と小さいが、幅1.8mは現橋とほぼ同じである。
近代的な河川改修が実施される前の都幾川は、河道が頻繁に蛇行し、自然的に
形成された狭窄部が多かったと思われる。落合橋は橋の長さが短くて済むように、
川幅が狭い箇所を選んで架橋したのだろう。
必然的に、橋の形式は都幾川が増水すると渡れない橋(冠水橋)だったと思われる。
武蔵国郡村誌は明治9年の調査を基に編纂されているので、この記述が誤りでなければ、
長楽落合橋は意外に歴史の古い橋で、江戸時代から既に存在していたことになる。
↑長楽落合橋の全景(左岸上流から) 車幅制限1.5m、重量制限は1.5t。 長楽落合橋は、2001年9月の台風15号で損傷し、 現在は修復作業中のため、通行禁止である。 |
↑橋脚のアップ(左岸上流から) 台風15号による損傷よりも、橋脚の老朽化の方が激しいと思われる。 主桁は橋脚の上に、直接乗せられている(台持ち木はない) 橋脚上流側に斜めに配置された棒は、流木よけのためだろう。 |
←長楽落合橋(右岸から) 0.3m角・長さ5〜7mの木材3本を、 主桁として橋脚間に配置し、 その上に、0.15m×0.1m角の木材を、 線路の枕木のように敷き詰めてある。 橋面の舗装もされておらず、完全な木造の橋である。 橋の構造上、主桁の配置は橋軸とは 一致していない(橋脚に対して直角ではない)のだが、 それは橋面に斜めに並んだ釘の列からもわかる。 なお、長楽落合橋の橋面は板を桁に釘で 打ち付けてあるが、隣接する赤尾落合橋(越辺川)の 橋面は板を桁(鋼)の上に並べただけである。 p.s.長楽落合橋の損壊時の修復作業は、 埼玉県川越市に本社を置く、 初雁興業がおこなっているようだ。 |