都幾川の冠水橋 〜 埼玉県の冠水橋分布図 〜
都幾川(ときがわ)は、埼玉県の大野峠付近(秩父市、秩父郡横瀬町、比企郡都幾川村の境)を源流とし、
都幾川村、玉川村、嵐山町、東松山市を流れ、越辺川(おっぺ)に合流する(東松山市、坂戸市、川島町の境界付近)。
延長約30Km、流域面積162Km2の荒川水系の一級河川である。 →都幾川の様子
(越辺川は川島町で入間川と合流し、入間川は川越市で荒川と合流して、最終的に荒川は東京湾に流れ込む)
都幾川の上流部には、小さな木の橋(流れ橋)が数多く架けられ、歩行者専用の生活道路として利用されている。
一方、川幅が広くなる中流部から最下流部には、冠水橋(大雨などで河川が増水すると水没してしまい、通行不能になる橋。
潜水橋、沈下橋ともいう)が、今も3基残っている。これらの冠水橋は車輌も通行できる。
都幾川の下流部、東松山市下押垂(しもおしだり)にも、1998年頃まで冠水橋が2基あったが、現在は撤去されている。
なお、都幾川は埼玉県でも屈指の清流であるだけでなく、古い土木構造物の宝庫でもある。
上流部には、大正時代に建設された古い橋が現存する。
例えば、玉川橋(玉川村、大正10年、埼玉県最古のRCアーチ橋)、滝の鼻橋(都幾川村、大正14年、トラス橋)。
下流部の東松山市は、明治時代に建設された古い樋管(ひかん:水門の一種)の現存数が日本一であり、
今も煉瓦造りの樋管が10基、石造りの樋管が2基、残っている。→埼玉県の煉瓦水門
都幾川は豊かな自然だけでなく、近代化遺産も堪能できる、個性のある稀有な川だ。
鞍掛橋←2.4Km→稲荷橋←2.0Km→唐子橋←2.2Km→東松山橋←1.6Km→高野橋←0.8Km→早俣橋←1.0Km→長楽落合橋←0.1Km→越辺川
(注)本ページの画像は、Nikon COOLPIX 995 (334万画素)で撮影しました。
2001年時点での記録なので、橋の諸元や通行規制は変更されている可能性があります。
鞍掛橋 (くらかけ) -
周辺の風景 - 左岸:東松山市上唐子(かみがらこ)、右岸:東松山市神戸(ごうど) 右岸上流から撮影 (F6.0,38mm) 全長約78m(歩測)、幅2.5m、欄干なし 桁(コンクリート製)、橋脚(鋼製11本) 竣工:昭和61年(1986) 都幾川の終点から10Km上流にある冠水橋。 右岸に鞍掛山(標高約80m)を望む都幾川の狭窄部に設置されている。 (ほのかな望みを送るのは、くらかけ山の雪ばかり by 賢治(^^;) この付近は藤の名所でもあり、鞍掛の藤として高名だそうだ。 鞍掛橋の上流には大きな州が、形成されている(写真左側)。 通学路なのだろうか、高校生が自転車で軽快に橋を渡っていった。 - 鞍掛橋の詳細 - |
稲荷橋 (いなり) - 周辺の風景 - 埼玉県東松山市下唐子(しもがらこ) 右岸上流から撮影 (F6.0,38mm) 全長約67m(歩測)、幅2.7m、欄干なし コンクリート製の桁橋、橋脚10本 橋名はここから300m南にある稲荷宮に由来するのだろう。 地元では稲荷を音読みして、おとうかばし、とも呼ばれている。 埼玉県で最初のコンクリート冠水橋(1955年)。 四万十川の沈下橋群と同時期に建設されたものである。 (そういえば、デザインも似ている) 車の通行量は、意外に多く、5分間に1台程度だった。 - 稲荷橋の詳細 - |
長楽落合橋 (ながらく) -
周辺の風景 - 左岸:比企郡川島町長楽、右岸:東松山市早俣(はやまた) 都幾川の左岸堤防上流から撮影 (F5.6, 150mm) 全長約51m(歩測)、幅2.0m、欄干なし 木製の桁橋、橋脚7本、流木よけ(木製) 都幾川の最下流の橋は冠水橋である(しかも完全な木造の橋) 都幾川が越辺川へ合流する付近に設けられている。 写真上部は、越辺川の右岸堤防(坂戸市赤尾) 越辺川にも冠水橋、赤尾落合橋(写真中央)が架けられている。 2つの橋は、への字型に造られたニ連の橋のように見える。 この付近には、舟運が盛んだった頃、早俣河岸があったそうである。 - 長楽落合橋の詳細 - |