八勢橋 (やせばし) - 熊本県指定重要文化財 -

 場所:上益城郡御船町大字上野
 架橋:安政2年(1855) 石工:卯助、甚平(橋本勘五郎の兄と弟)
 長さ:62m 幅:4.3m 高さ:9.2m 径間:18.2m 拱矢(こうし):8.7m

 国道445号が開通するまで、日向街道はこの地点を通って、御船から矢部へ通じていました。
 しかし八勢川が増水すると、通行ができなくなるなど不便なだけでなく、非常に危険でした。
 八勢眼鏡橋は、1855年に御船の材木商・林田能寛が、巨額の私財を投じて架橋したものです。
 八勢橋の周辺には、八勢小橋、八勢水路橋もあって、現在、一帯は公園として整備されています。
 なお、八勢水路橋は御船町で最も古い石橋です。

 p.s.御船町には、つい最近まで、肥後随一と称される立派な石橋(県指定重要文化財)がありました。
 御船川目鑑橋(1848年建設、石工:宇一、丈八、2連アーチ、長さ60.8m、径間18.0m)です。
 しかし、自然環境を無視した河川改修が災いしてか、昭和63年(1988)の洪水で流されてしまいました。

 八勢橋  八勢橋 (右岸下流から)
 八勢川と用水路を跨ぐ非常に凝った作りの石橋です。
 写真の右方向には、用水路を跨ぐ橋(八勢小橋)があります。
 八勢橋と八勢小橋は、大小2連のアーチ橋のように見えます。
 金内橋(かなうち、矢部町、1847)と同じ形式の石橋です。
 面白いことに、金内橋は、宇一(次男)、丈八(三男、勘五郎)、
 八勢橋は、卯助(長男)、甚平(四男)が架けています。

 それにしても、石組みがきれい!。
 アーチもほぼ半円に近く、とても優雅な風情が・・。
 橋脚部には、八勢川の急流から橋を守るための
 控えの石垣が設けられています。
 石垣や石組み等、全体の作りは霊台橋にそっくりです。

 八勢小橋
 八勢小橋 (左岸下流から)
 安政2年(1855) 石工:甚平 径間1.4m
 井手(用水路、写真中央から左下へ流れる)を
 跨ぐために作られました。この井手の下には
 八勢水路橋(写真の右隅)が架けられています。
 この付近は、昔は日向街道の要所だったようですが、
 今は国道から遥か山奥にひっそりと佇んでいます。

   八勢水路橋
   八勢水路橋 (八勢橋の上から左岸を望む)
   文化11年(1814) 石工:不明 長さ2.2m、径間1.6m、幅2.5m
   農業用水を運ぶ水路橋で、八勢川の支流に架けられています。
   熊本県で最も古い水路橋です。また、早鐘眼鏡橋(1674年、
   福岡県大牟田市)に次ぐ日本で2番目に古い水路橋のようです。
   壁石には、通潤橋と同じ鞘石垣の技法が使われていますが、
   建設当初からそうなのかは不明です。

   畳の道から八勢眼鏡橋を望む
   八勢眼鏡橋の全景(石畳の道から)
   この石畳が昔の日向街道かな。
   地元の人のご好意で、橋の上面は掃き
   清められていて、非常にきれいでした。

     石畳の道
 石畳の道
 山の斜面はすべて岩場と
 なっていて、架橋のために
 採石した跡が伺えます。


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