隅田川の橋 (その2) (その1) (その3) (その4

 駒形橋

 ←駒形橋 (こまがた:下流から)
 浅草通、左岸:墨田区東駒形1丁目、右岸:台東区駒形2丁目
 中路式鋼アーチ(3径間) 長さ 149.62m 建設:昭和2年(1927)
 設計:岩切良助 製作:汽車製造会社

 中央径間は中路、側径間は上路アーチという珍しい形の3連アーチ橋。
 アーチの形式は2ヒンジのソリッドリブタイド。
 円筒形の橋脚の上には、バルコニーが設けられている。
 左岸上流(写真右端)に見えるビールジョッキの形をしたビルは、
 アサヒビール本社。脇には笑いを誘う金斗雲(きんとうん)のオブジェも。
 なお、東京都による駒形橋の説明板には、駒形は[コマガタ]ではなく、
 [コマカタ]と発音するのが正しいと記されている。

  厩橋 (うまや:下流から)→
  春日通、左岸:墨田区本所1丁目、右岸:台東区蔵前2丁目
下路式鋼アーチ(3径間) 長さ 151.422m 建設:昭和4年(1929)
 設計:? 製作:浅野造船所

 橋名は左岸に幕府の米蔵に付属の御厩(おんまい:馬小屋)が
 あった事に由来するそうで、以前は御厩河岸があったという。
 明治7年に木橋(賃取り橋:通行料を取る橋)、明治26年には
 鋼プラットトラス橋(3連)が架けられた。 →文献2、p.44
 現橋のアーチ形式はソリッドリブのタイド。
 重厚な親柱(鋼製)はアーチリブに直結していて、
 側道からの眺めは
柳橋(神田川の第一橋)と似ている。
 厩橋は隅田川花火大会の会場としても有名。
 写真右端は首都高速6号線。
厩橋
 蔵前橋  ←蔵前橋 (くらまえ:下流から)
 蔵前橋通、左岸:墨田区横網2丁目、右岸:台東区蔵前1〜2丁目
 上路式鋼アーチ(3径間) 長さ 173.412m 建設:昭和2年(1927)
 設計:井浦亥三 製作:石川島造船所

 橋名は架橋地点に幕府の米蔵があったことに由来する。
 昭和50年代まで大相撲がおこなわれた蔵前国技館も今では懐かしい。
 この付近には視界をさえぎるような極端に高い建物は、
 少ないので隅田川の様子が遠方まで見渡せる。
 蔵前橋には、左岸の河岸道路へ連結するための跨道橋が
 増築されているので、遠目には四連アーチ橋のように見える。
 アーチの形式は2ヒンジのソリッドリブ。
 橋脚は四角い断面だが、アーチリブの支承部付近には
 半球体の装飾、上部にはバルコニーが設けられている。
 端正で力強いデザインだが、昭和初期には橋のデザインや装飾に
 西洋近代様式(ドイツ表現主義等)を取り入れるのが流行であった。

文献1:日本の近代土木遺産、土木学会、丸善、2001
文献2:日本の橋、日本橋梁建設協会、朝倉書店、1994
文献3:日本の土木遺産 - 日本文化の象徴・近代化遺産を訪ねて、石井一郎、森北出版、1996


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