寺坂橋 (その2)
←親柱 石造りのシンプルな親柱(30cm角、高さ90cm)だが、 頂部には笠石風の加工が施されている。 竣工年が明治廿二年四月(22年)と記されている。 欄干は現在は改修されて、鉄製となっているが、 竣工当事は石造りだったと思われる。 左岸の橋詰には中柱が3本残っている。 総じて寺坂橋は和風の意匠のアーチ橋である。 なお、寺坂橋の左岸橋詰めには、大きなイチョウの木があり、 その下には石塔群が祀られている。 庚申塔(寛政12年建立)、道祖神(嘉永5年建立、寺阪中の銘あり)、 三猿の像、観音像などがあり、この街道の歴史の古さを感じさせる。 |
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←輪石 アーチ脚部の5つの輪石は五角形。 埼玉県では珍しい様式だ。 籠嶌樋管(新河岸川、志木市、明治28年建設)と似ている。 寺坂橋の面壁は切石による布積みで組まれている。 我国の石橋は九州地方に数多く残っていて、 石組みの形式から、長崎系と熊本系に大別されるが、 寺坂橋の石の組み方は長崎系である。 (熊本系の石組み→緑川流域の石橋) 見た目が美しいとされるのは長崎系であり、 熊本系は無骨である。 熊本系の石組みは石工の技量と熟練を要する。 |