午の堀川の古い橋 (その1) (2)(3)
撮影地:午の堀川(うまのほり)、埼玉県加須市(かぞ) [午の堀川について]
午の堀川には、昭和初期の河川改修事業(県営の羽生領用排水幹線改良事業。国営の中川改修工事が
完了して最終的な排水形態が確立した後に実施された)で建設された古い橋が数多く残っている。
これらは田んぼの中に設けられた、長さ10m程度の小さなRC(鉄筋コンクリート)T形桁橋であるが、
欄干や親柱には洒落た装飾が施されている。当時の日本は経済的に貧しく、決して豊かな時代ではなかったが、
(昭和恐慌を解決できないまま、太平洋戦争へ突入しようとしていた)、土木技術者は見事な仕事を遺している。
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新橋 (上流から撮影) →新橋の詳細 場所:加須市岡古井(おかふるい) 建設:昭和13年(1938)9月 形式:鉄筋コンクリート桁橋(1スパン) 長さ 5.9m、幅 2.6m、欄干高 0.5m、親柱高 0.55m 午の堀川の起点から3Km下流、羽生市との境にある橋。 上流200mの樋ノ口橋付近には、農業用水の取水堰である樋の口堰、 下流100mには八幡宮がある。新橋が建設された当時、 岡古井地区は北埼玉郡不動岡町に属していた。 不動岡町の道路元標が不動尊の門前に残っている。 本橋は、下流にある銭見橋と良く似たデザインであるが、 欄干は銭見橋よりも豪華な造りになっている。 橋の表面には、化粧は施されていない(コンクリート打ち放し) |
下谷橋 (上流右岸から撮影) 場所:左岸:加須市下谷、右岸:加須市岡古井 建設:不明、昭和10年(1935)前後? 形式:鉄筋コンクリート桁橋(1スパン) 長さ 7.5m、幅 1.8m、欄干高 0.65m、親柱高 0.7m 新橋から500m下流にある農道橋。 下流20mには新下谷橋が架けられていて、 農道もそちらの橋に合わせて整備されているので、 本橋は壊れたままで放置されている。 しかし、農作業用の橋として使われているようだ。 欄干はわりと高く、表面はセメントで化粧が施されている。 欄干の開口部の形状は、近隣の古い橋梁に顕著な菱形。 徒歩橋(会の川、加須市)、原野橋(会の川、羽生市) と同じである。 |
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銭見橋 (ぜにみ:上流から撮影) 場所:加須市不動岡 建設:不明、昭和10年(1935)前後? 形式:鉄筋コンクリート桁橋(1スパン) 長さ 9.5m、幅 1.9m、欄干高 0.35m、親柱高 0.4m 下谷橋から2Km下流にある農道橋。 左岸側には、はっきりした道路はない。 北200m(写真上部)には葛西用水が流れる。 橋詰めには、榛名構の札(雨乞いのため?)が、 供されていたりして、なかなかの風情である。 欄干(地覆に近い)は高さが非常に低いが、 台形状の大きな開口部が設けられている。 |