雄亀滝橋 (おけだきばし) - 熊本県指定重要文化財 -

 場所:下益城郡砥用町(ともち)大字石野
 架橋:文化14年(1817) 石工:岩永三五郎(橋本勘五郎の叔父、当時25歳)
 長さ:15.5m 幅:3.6m 高さ:7.4m 径間:11.8m 拱矢(こうし):5.4m

 雄亀滝橋は、国道218号の霊台橋付近から、かなり山奥に入ったところにあります(近くには緑川ダム)。
 よくまあ、こんなに山深く、谷が急なところ(当惑谷と呼ぶそうです)に石橋が作れたものです。
 雄亀滝橋は、通潤橋と同じく水を運ぶ橋で、現在でも現役の水路橋として、
 柏川井手(延長11Km)からの水を、約230haの田畑に運んでいます。

 雄亀滝橋は、砥用町で一番古い石橋で、水路橋としては熊本県で二番目に古いものです。
 ちなみに熊本県で一番古い水路橋は、御船町の八瀬水路橋(1814年架橋)、
 日本一古い水路橋は、福岡県大牟田市の早鐘眼鏡橋(はやがね、1674年架橋)です。

 柏川井手
 柏川井手(いで) 上流から
 肥後の国では、用水路のことを井手と呼びました。
 柏川井手は緑川の支流・柏川から取水しています。
 文政2年(1819)に、下益城郡代の不破政次郎、
 砥用惣庄屋の三隅丈八、篠原善兵衛等の協力に
 よって6年をかけて完成したものです。
 山肌の崖の下を縫うように流れています。
 水路はコンクリートで、幅約120cm×深さ60cm。
 写真の中央が、雄亀滝橋。
   雄亀滝橋の全景
   雄亀滝橋の全景
   周囲は見てのとおり、断崖と深い谷です!
   水路は石管で、橋の上部に埋設されていて、
   橋の上は人が渡れようになっています。
   水の勢いを弱めるために、水路の入口と出口は、
   わざと曲げる、余水吐を設ける等の工夫がしてあります。

 雄亀滝橋
 雄亀滝橋
 石の組み方は、30年後に作られた霊台橋や通潤橋に
 比べると雑(骨太で力強い)で、綺麗ではありません。
 この付近は深い山奥で、訪れる人も少ない所なので、
 石橋を架けるのは、相当な難工事だったことでしょう。
 雄亀滝橋の技術と魂を受け継いだ、三五郎の甥たちは
 後に石橋の最高傑作〜霊台橋、通潤橋を建設します。 

    雄亀滝橋の上面部
    雄亀滝橋の上面部(右が山側)。
    余分な?水は、橋の右から谷に
    落としています(右に見える水飛沫)。
    橋の名前にも付けられているように、
    右手は滝がある急峻な沢となっています。

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