比企丘陵の溜池 (滑川町) (吉見町)(東松山市)(鳩山町)(小川町)(嵐山町)
撮影地:埼玉県比企郡滑川町、滑川流域
埼玉県は他県に比べて溜池(ためいけ、農業用水の水源)の総数は少ないが、県の中央部から
北部にかけての比企郡、大里郡、児玉郡に局所的に集中して、小規模な溜池が数多く分布している。
なかでも比企郡は傑出しており、約600箇所もの溜池が存在し、これは埼玉県全体の約80%に相当する。
これらは平地に設けられた皿池(野池)ではなく、丘陵の谷地(谷津)の開口部を堰堤(土手)で
塞いで造成したもので、名称は池ではなく沼となっているものが多い。
谷地を封鎖して造り出された新たな空間だが、意外なことに開放的な景観を形成している。
滑川町には約200ものため池があり、この数は埼玉県の市町村では最も多く、
埼玉県全体の1/4に相当するという。ため池の規模は大小さまざまだが、概して水深は
あまり深くないようだ。これは堰堤の高さが3m前後であること、設置場所が谷地から平野部への
移行部であり、土地の傾斜があまり急ではないことなどから、水深は2m前後だと思われる。
小規模なため池では取水口が余水吐(大雨などで、ため池があふれそうになった時に水を
放水する施設)を兼用しているが、規模が大きくなると取水口と余水吐は独立して設けられている。
滑川町に設けられたため池の水は、田んぼで使われた後に、主に滑川、市野川、和田川へと流れ込んでいる。
山王谷沼(西側から) 滑川町山田 武蔵丘陵森林公園南口から800m東側に位置する。 この付近は滑川町の東端であり、東松山市大谷との 境である。山王とはこの付近の小字名。 沼の周長は約400m、地元では谷津沼と呼ばれている。 |
山王谷沼の堰堤と取水口 西側に堰堤が設けられている。堰堤の長さは約50m、 高さは約3.5m(推定)。写真の右端に見えるのが取水口。 堰堤に設けられた樋管を通して取水する。 |
新沼(南側から) 滑川町福田 県道47号深谷東松山線の福田交差点から北東へ 400mに位置する。県道47号線の200m南側には 滑川が流れている。この付近の滑川周辺には以前は 石橋が数多く架けられていたようで、江戸時代に 建立された石橋供養塔などが3基現存している。 |
新沼の堰堤 新沼は両表水利組合が管理。溜池では魚の養殖も しているようで、立看板には漁業組合が権利者として 名を連ねている。新沼から取水した農業用水は 最終的には滑川へ排水される。 |
笠沼(西側から) 滑川町福田 新沼から北へ1Kmの地点に位置する。周囲長は約300m 西側と南側に堰堤が築かれている。付近には巨大な 馬頭観音と青面金剛(天保15年建立、緑泥片岩製)が 祀られている。 |
エンマ谷沼(西側から) 滑川町土塩 江南町野原との境界、土塩上薬王寺集会所の東側に 位置する。周囲長は約150m。北側に堰堤が設けられている。 エンマは閻魔と表記するのだろうか。 |