芭蕉の句碑  利根川沿線:(羽生市、加須市) 本庄市、美里町)(深谷市妻沼町、熊谷市)(行田市)(北葛飾郡)(大泉町、千代田町
           荒川流域:
秩父郡)(大里郡)(熊谷市、北足立郡)(入間郡)(比企郡)(小川町

 撮影地:埼玉県羽生市(はにゅう)、加須市(かぞ)

 羽生市西一丁目 古江宮田神社
(1)羽生市西一丁目 古江宮田神社付近 明治三十年(1897)
 
  春もやや けしきととのふ 月と梅
 企幹
 槹香庵赴生 社友 竹宇
 古江宮田神社から県道128号線を挟んだ反対側の
 弁天島(現在は水はない)にある。神社の境内に毘沙門山
 古墳があることから、これは毘沙門堂の句碑とも呼ばれる
   羽生市北一丁目 蓑沢の薬師堂
  (2)羽生市北一丁目 蓑沢の薬師堂 寛政年間
   
  古池や かわずとびこむ 水の音
   多少庵秋瓜の書と伝えられている。
   篠原歯科医院の南側、蓑沢の薬師堂にある。
   2つの玉石があり、一つに芭蕉、もう一つには
   小扇という俳人の句が刻まれている。

 羽生市東五丁目 天満宮
(3)羽生市東五丁目 天満宮 寛政年間
  
 蓬莱に きかばや伊勢の 初便
 多少庵秋瓜書 多少庵孤豹庵連中

 地元では天神様と呼ばれている天満宮は
 羽生城の天神曲輪の跡地である。
 天満宮の入口には城橋の親柱(御影石製)が
 移築されているが、これは葛西用水に架かる城橋の
 旧橋のものだろうか。城橋はここから1Km西に位置する。

   羽生市弥勒 円照寺

  (4)羽生市弥勒 円照寺 天保十四年(1843)
   
  さまさまの 事思ひたす 桜かな
   山門の脇に建てられている。変体仮名を多用した書体なので
   句の判読は難しい。円照寺には田山花袋の小説[田舎教師]に
   登場するお種さんのモデルとなった女性の墓がある。
   境内にはお種さん資料館もあり、田舎教師に関する資料などが
   展示されている。


 
加須市平永 八幡神社
(1)加須市平永 八幡神社

 加須市指定有形文化財
 天保十四年(1843)建立
 
  名月の 花かと見えて 綿ばたけ
 芭蕉の150回忌を記念して、地元の俳人
 文戲(相沢栄介)と翫月が建立したもの。
 この一帯は現在は水田となっているが、
 かつては綿花の栽培が盛んだったので
 風景と合ったこの句が選ばれたようである

   加須市不動岡二丁目 総願寺
  (2)加須市不動岡二丁目 総願寺(不動岡不動尊)

   加須市指定史跡
   天保十四年(1843) 連溪庵裳枝
 建立
 
    曙ゆくや 二十七夜も 三日の月
   総願寺の本堂の北側、渋沢栄一来遊由来之碑の
   脇に建てられている。これも芭蕉の150回忌を
   記念して、この付近に住んでいた芭蕉の門弟達が
   建てたもの。碑の裏に来歴が刻まれているが、
   損傷がかなり酷いため、判読は困難。

 加須市中央二丁目 千方神社
(3)加須市中央二丁目 千方神社(ちがた)

 大正十年(1921)十月
 
  けふはかり 人もとしよれ 初時雨
 樂天堂紅林敬書。この句碑の近くには
 石敢当(せきかんとう)の碑があるが、
 その書は群馬県千代田町上五箇の
 出身の漢学者・書家:亀田鵬斎である。

   加須市多門寺 愛宕神社
  (4)加須市多門寺 愛宕神社

   明治二十四年(1891)六月 東久世通禧の筆
 
    花さかり 山は日ころの 朝ほらけ
   愛宕神社の南側には葛西用水が流れ、
   東側には加須の浮野と呼ばれる湿地帯が広がる。
   句碑の下段には許十(鈴木忠全)の句(書は久米幹文)。
   碑の背面は鈴木忠全の顕彰碑となっている。

 参考文献: 芭蕉句碑を歩く、小林甲子男、さきたま出版会、1983


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