芭蕉の句碑 荒川流域(秩父郡) (大里郡)(熊谷市、北足立郡)(入間郡)(比企郡)(小川町
          利根川の沿線:本庄市、美里町)(深谷市妻沼町、熊谷市)(行田市)(羽生市、加須市)(北葛飾郡)(大泉町、千代田町

 撮影地:埼玉県秩父郡吉田町、小鹿野町、秩父市、長瀞町

 吉田町上吉田 萬福寺
(1)秩父郡吉田町上吉田 萬福寺
 文政五年(1822)
   
ともかくも ならてや雪の 枯尾花
 久形地区、吉田川の左岸段丘の上に
 萬福寺はある。県道71号線に句碑の
 案内標があり、それに従い進むと山門の
 脇に、宝きょう印塔と並んで建っている。
 高さ49cm、幅65cm(最大)
   吉田町上吉田 中島不動尊
  (2)秩父郡吉田町上吉田 中島不動尊
     
歌よみの 先達多し 山櫻
   萬福寺から県道71号線に出て、東へ400m進むと、
   県道脇に句碑の案内標がある。それに従い、北へ進み
   400mほど山を登ると、沢の脇に中島地区の
   不動尊がある。句碑は不動尊の裏手、
   不動の滝の真下に建てられている。
   写真の右側が本来の句碑だが、表面は磨耗が酷く、
   句の判読は困難だ。
   高さ60cm、幅29cmと小さい。写真の左側は
   再建された句碑で、本来の句碑と同じ句が
   刻まれている。
   

 秩父郡吉田町下吉田 彦久保氏宅
(3)秩父郡吉田町下吉田 彦久保氏宅
 安政七年(1860)正月
   
春なれや 名もなき山の 朝霞
 布里(ふり)地区は吉田川右岸の山裾に
 位置する。最近はブルーベリーの栽培が
 盛んだという。この句碑はビッグファーム
 (彦久保利平氏の農場)の屋敷内にある。
 高さ65cm、幅65cm

   
秩父郡吉田町下吉田 菊水寺
  (4)秩父郡吉田町下吉田 菊水寺
   寛保三年(1743)十月十二日
     
寒菊や 粉糠のかかる 臼の端
   菊水寺は秩父観音霊場の33番札所。
   正面に芭蕉翁菊塚とあり、句が刻まれて
  いるが、風化が激しい。芭蕉の五十回忌に
   絮格を首領とす る俳人連中が建立。
   高さ119cm、幅50cm(最大)

   
秩父郡吉田町下吉田 菊水寺
  (5)秩父郡吉田町下吉田 菊水寺
     
寒菊や 粉糠のかかる 臼の端
   菊水寺の境内には菊塚と題され、同じ句が
   刻まれた句碑が2つある。こちらの碑は
   正大悲閣(お堂)の脇にある。
   碑の裏には俳人名が3つ。
   高さ161cm、幅99cm(最大)


 
秩父郡小鹿野町飯田 観音院
(1)秩父郡小鹿野町飯田 観音院
 弘化三年(1846)
   
清く聞かん 耳に香たいて 子規
 観音院は秩父観音霊場の31番札所。観音山
 (標高698m)の中腹、岩殿沢の源流付近に鎮座する。
 仁王門から観音院までの200数段の石段に沿って、
 奉納された句碑が建ち並ぶ。芭蕉の句碑は本堂から
 さらに山を登った東奥の院の脇にある。句の内容から
 香塚と呼ばれている。高さ106cm、幅114cm

   小鹿野町小鹿野 十輪寺
  (2)秩父郡小鹿野町小鹿野 十輪寺
   寛政五年(1793)十月十二日
 
    梅か香に のつと日の出る 山路かな
   今日庵元夢書 中阿坊建立
   十輪寺は小鹿野町の中心部にある。
   山門をくぐると、本堂の前に天満宮の鳥居と祠が
   あり、句碑はその脇にある。
   高さ92cm、幅110cm(最大)


 秩父郡荒川村上田野
(1)秩父郡荒川村上田野(かみたの)
 安政二年(1855)
   
むかしきけ 秩父殿さへ すもうとり
 三上医院から西へ300m、旧秩父甲州往還の
 安谷川渡河地点への入口にある。
 安谷川は渓谷となっているので、ここから崖を
 下って、河原へ下りて行く。
 路傍(祠すらない)に建てられた芭蕉の句碑は珍しい。
 句碑は自然石に蕉翁之句碑と刻まれている。
 句の秩父殿とは畠山重忠(鎌倉時代に
 大里郡川本町に館を構えた武将)、親の代まで
 秩父に居住していた。川本町の井椋神社は
 畠山重忠が吉田町の椋神社を勧請したもの。
 高さ58cm、幅77cm(最大)

   秩父郡荒川村久那

  (2)秩父郡荒川村久那(くな)
   建立年不明  通称.諸の翁塚
     
くたびれて 宿かるころや 藤の花
   諸上橋(浦山川)の右岸橋詰から北東へ150m、
   Y字路の付近の高台にある。諸上橋は浦山ダムの
   直下流に架かる。ここは秩父観音霊場の
   28番札所から29番札所へと通じる巡礼道だという。
   この句碑は元来は諸上橋(現在とは架橋地点が異なる)の
   袂にあったというから、ここからさらに300m北東、
   光西寺の付近に建っていたことになる。
   秩父甲州往還の浦山川渡河地点だったという。
   上田野の句碑と同様、これも路傍にあった。
   刻まれた句に詠まれているのは藤だが、現在は傍らに
   桜の木があり風情がある。高さ62cm、幅57cm(最大)


 秩父市寺尾 観音寺
(3)秩父市寺尾 観音寺
 大正十三年(1924)秋
   
しずかさや 岩にしみ入る 蝉の声
 臨済宗要光山観音寺は秩父観音霊場の
 21番札所。句碑は堂宇の脇にある。
 裏側に、写梅園習斎建立、発起人2名の
 氏名がある。
 高さ172cm、幅71cm

  
長瀞町矢那瀬 喜多窪地蔵堂
  (4)秩父郡長瀞町矢那瀬(やなせ) 喜多窪地蔵堂
     
榎の実 ちるむくの羽音の はつ嵐
   高徳寺の西側に矢那瀬の石幢(せきどう)
   の案内板があり、国道140号線から山道を
   5分ほど歩くと、地蔵堂に辿り着く。
   句碑は石幢(県指定有形文化財)の
   脇に立つ。裏側に、芭蕉 矢那瀬連中。
   高さ165cm、幅66cm

参考文献: 芭蕉句碑を歩く、小林甲子男、さきたま出版会、1983


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