洋館 (その6b)_  川越商工会議所、田中屋と保刈歯科医院、埼玉りそな銀行、中成堂歯科医院   洋館の一覧


川越市の洋館(その2):

 川越商工会議所(旧.武州銀行 川越支店)
↑川越商工会議所(旧.武州銀行 川越支店)
 所在地:川越市仲町1-12  登録有形文化財(文化庁)
 竣工:昭和3年(1928)  設計:前田健二郎、施工:清水組

 仲町交差点(本川越停車場線)の東、大正浪漫夢通りの
 交差点に建つ。鉄筋コンクリート2階建て。
 柱はドリス様式(古代ギリシャ調)、玄関の上の装飾は
 バロック調。軒下には持ち送りとメダリオンの装飾が
 施されている。設計者の前田健二郎は
 日本橋高島屋、資生堂本社、銀座千疋屋などを手がけた。
   田中屋と保刈歯科医院
  ↑田中屋と保刈歯科医院
   所在地:川越市仲町6-4

   左が田中屋(旧.桜井商店) 竣工:大正4年(1915) 設計:?
   外観は洋館だが、土蔵造りの2階建て。木と漆喰で造られている。
   軒下には
デンテイルの装飾。1階は喫茶店になっているので
   外側だけでなく、内側の様子も見られる。

   右が保刈歯科医院(旧.山吉デパート)。竣工:昭和11年(1936)
   設計:保岡勝也。山吉デパートは川越で最初の高級百貨店

 埼玉りそな銀行 川越支店(旧.八十五銀行本店)
↑埼玉りそな銀行
 川越支店(旧.八十五銀行本店)
 所在地:川越市幸町4-5  登録有形文化財(文化庁)
 竣工:大正7年(1918) 設計:保岡勝也

 川越の蔵造りの街並の中で、異彩を放つのがこの建物。
 鉄骨、鉄筋コンクリート3階建てで、青銅葺のドームまで
 備えている。壁面の化粧には煉瓦が貼られている。
 設計者の保岡勝也は東京大学で、辰野金吾(東京駅の
 設計者)に師事した。師匠の影響も見られるが、
 それ以外に、この建物にはイスラム様式の香りがする。

   中成堂歯科医院
  ↑中成堂歯科医院(旧.中野歯科医院)
   所在地:川越市幸町13
   竣工:大正2年(1913) 設計:?

   埼玉りそな銀行から東へ200m、住宅地の中にある。
   英国風の木造2階建て洋館(下見板張り)。建物の色彩、
   植栽、煉瓦造りの塀がアクセントとなり、全体のバランスが良い。
   ファサード(建物の正面景観)は窓の配置が幾何学的な
   安定感を出している。窓の形式も凝っていて、
   一階の窓は観音開きだが、二階の窓は上下窓。

 川越市勤労会館
↑川越市勤労会館
 所在地:川越市六軒町二丁目15
 竣工:? 設計:?

 六軒町交差点(県道15号線)から北東へ150mに位置する。
 木造2階建て(下見板張り)。屋根は日本瓦
 公的な建造物に多かった簡素なデザインの建物。
 大きな改築はなく、峻工時のままの形態を留めているが
 窓枠はサッシに交換されている。

   ベニーノ(旧.六軒町郵便局)
  ↑ベニーノ(旧.六軒町郵便局)
   所在地:川越市田町5-1  
   竣工:昭和2年(1927) 設計:志村岩太郎

   県道246号線(川越市停車場線)の[川越市駅入口]交差点の
   近くに建つ。角地の隙間を利用した建物なので、奥行きはない。
   木造2階建てで、壁は下見板張り、白(壁)と茶色(屋根や
   窓枠)の配色が爽やかだ。昭和50年代中頃まで、郵便局として
   使われていたが、現在は1階がベニーノ(イタリア料理店)、
   2階がデザー(タイ料理店)となっている。

参考文献:埼玉県の近代化遺産〜近代化遺産総合調査報告書、埼玉県教育委員会、1996


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