洋館 (その7)_  本庄市歴史民俗資料館、仲町郵便局、ローヤル洋菓子店、他   洋館の一覧

 本庄市の洋館:隣の深谷市と同様に、本庄市にも旧中山道に沿って古い町家が点在する。
 その中でひときわ目に付くのが、赤煉瓦を使って建造された蔵や工場である。
 本庄市の名士である諸井家の諸井恒平は、日本煉瓦製造(隣の深谷市で明治20年に創業)の
 創設時からメンバーであり、後に取締役も務めている。これが本庄市に赤煉瓦の建築物が
 多いことの要因の一つだろう。なお、本庄市の現在の市域には明治41年(1908)に、
 藤田煉瓦製造株式会社(児玉郡藤田村滝瀬)が設立されている。
 この会社の煉瓦は手抜き成形で製造されているので、本庄市内の煉瓦建築や構造物に
 使われている煉瓦で、それが手抜き成形の場合、藤田煉瓦の製品である可能性が高い。

 
↑富士機工の工場
 所在地:埼玉県本庄市中央二丁目
 竣工:大正期?

 旧元小山川の右岸の段丘崖の上に位置する。元々は
 生糸の工場だったという。天井が高いデザインなので、
 かなり大きな建物だが、平屋だと思われる。煉瓦の
 積み方は
イギリス積み。窓は長方形であり、異形煉瓦
 使って、フラットアーチで組まれている。
 軒には四重の飾積みが施されている。
   本庄市歴史民俗資料館(旧本庄警察署)
  ↑本庄市歴史民俗資料館(旧本庄警察署) 県指定文化財
   所在地:埼玉県本庄市中央一丁目
   竣工:明治16年(1883)

   木造二階建、壁は漆喰塗。壁面には隅石を模した装飾が
   施されている。玄関はアーチに仕上げられ、2階のベランダには
   コリント様式(柱頭に植物の葉の飾り)の列柱と装飾を凝らした、
   手すりが設けられている。さらに軒には円形窓まで付いている。
   柱頭の飾りが柱の径に対して大きすぎるのが、かえって潔い。
   文明開化の気風に溢れた饒舌で、大胆な擬洋風建築物だ。

 本庄仲町郵便局
↑本庄仲町郵便局
 所在地:埼玉県本庄市中央一丁目
 竣工:昭和9年(1934)

 旧中山道の中央一丁目交差点に位置する。
 木造2階建て、一部煉瓦造り。現在は改装されていて、
 壁面は煉瓦風のタイルで化粧が施されている。
 建物の裏には諸井家住宅(県指定文化財)がある。
 なお、本庄市には
古い火の見櫓が非常に多く、約30基現存

   
煉瓦造の民家(大政商店 本庄支店)
  ↑煉瓦造の民家(大政商店 本庄支店)
   所在地:埼玉県本庄市銀座三丁目
   竣工:大正9年(1920)

   JR本庄駅の北口から昭和通りを西へ200mの地点、交番の
   北西に位置する。煉瓦造2階建て。煉瓦の積み方は
小口積み
   煉瓦は小口面の平均実測寸法が110mm×60mmなので、
   JIS規格制定(1925年)以前の
古い煉瓦である。
   うだつが設けられ、切り妻部分には
モミジの装飾積みが施されている。

 ローヤル洋菓子店
↑ローヤル洋菓子店(旧.本庄商業銀行の繭倉庫)
 所在地:埼玉県本庄市銀座一丁目
 竣工:明治27年(1894)

 旧中山道に面した目抜き通りにある。煉瓦造2階建て。
 煉瓦の積み方は
イギリス積み。2種類の煉瓦が使われて
 いる。壁面は
機械成形の赤煉瓦で平均実測寸法が
 222×108mm×58mm、基礎部は手抜き成形の
焼過煉瓦
 215×102mm×54mm。赤煉瓦は時期と地理的条件から
 
日本煉瓦製造の製品であろう。壁面にドーム状の黒い
 日よけが設けられた箇所は出窓。
 出窓は
セグメンタルアーチで組まれている。

   民家の煉瓦蔵と塀
  ↑民家の煉瓦蔵と塀
   所在地:埼玉県本庄市千代田二丁目
   竣工:?

   金鑚神社(かなさな)から南へ150m、旧中山道から少し奥に
   入った地点にある。なお、金鑚神社には樹齢350年とされる、
   根回りが10mにも及ぶ巨大なクスの木がある。
   この煉瓦蔵は煉瓦造の2階建、煉瓦の積み方は蔵と塀共に
   
小口積み。小口面の平均実測寸法は108mm×56mm、
   機械抜き成形の跡が確認できる。これも日本煉瓦製造の
   製品だと思われる。出窓はセグメンタルアーチで組まれている。

 旧.藤田村郵便局
↑旧.藤田村郵便局
 所在地:埼玉県本庄市牧西(もくさい)
 竣工:

 藤田小学校の南側、旧中山道に面して位置する。
 木造2階建て、下見板貼り、屋根は瓦葺き。

   本庄市埋蔵文化財センター
  ↑本庄市埋蔵文化財センター(旧.藤田村役場)
   所在地:埼玉県本庄市牧西1137
   竣工:?

   道路を挟んで藤田小学校の東側に位置する。
   これも木造2階建て、下見板貼り、屋根は瓦葺き

 民家(旧商店?)

  ↑民家(旧商店?)
   所在地:埼玉県本庄市児玉町八幡山
   竣工:?

   鍛治町会館から西へ50m、国道254号線に面して建つ。
   木造煉瓦造り2階建て(壁体が煉瓦造り)。
   うだつの部分はイギリス積みだが、他の部分の煉瓦は
   長手積みで組まれていて、煉瓦は新らしい。
   イギリス積み部分の煉瓦は平均実測寸法が
   217mm×102mm×56mmであることから、
   大正時代以前の物だと思われる。
   しかし、機械抜き成形の跡が確認できる。
   なお、新しい煉瓦には、
丸に一の刻印がある。

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