水準点、三角点 (利根川水系:その2)_ |
↑小三角点 埼玉県深谷市江原 小山川が利根川に合流する付近の 右岸堤防の裾にある。ここはかつての 江原堤(江戸時代に利根川の右岸に 築かれた村囲みの堤防)の跡地。 小三角点は16cmの角柱で高さは31cm。 埼玉縣、小三角點、第一△土木監督△と 記されている。おそらく明治期の設置 だろう(注)。ここから1Km西の群馬県 尾島町前小屋(小山川左岸)の菅原神社 には三等三角点が設置されている。 →この付近の小山川 |
↑御定杭と水準点 (タイプ2:基標 No.11) 埼玉県深谷市江原、地蔵堂 小三角点から南へ100m、地蔵堂の脇。 江原堤(論所堤)には、江戸時代の 御定杭(堤防高の基準高を示したもの)と 共に古い様式の水準点が残っている。 水準点は花崗岩製で一辺18cmの角柱、 地上高は24cm。頂部には大きめの 直径88mm程の半球体(水準点)が 施されている。刻字は二面で、南を向いた 面に埼玉縣、北面は磨耗が激しいが、 No.11と明治期の仕様である不(几号)。 |
↑几号の水準点 (タイプ1:基標 No.48) 埼玉県深谷市江原、聖天堂 御定杭と水準点から東へ250mの地点。 深谷市江原と妻沼町永井太田との 境界付近に位置する聖天堂の敷地内、 お堂の南側に放置されている。 どこからか持って来て廃棄したのではなく、 当初からここに設置されていたのを 掘り出したのだろう。頂部の半球体 は完全に欠損している。 四面にそれぞれ、不(几号)、 B.M.、基標 No.48、埼玉縣とある。 |
↑几号の水準点 (タイプ1:基標 No.44) 埼玉県大里郡妻沼町出来島(できじま) 基標No.48から北東へ1.5Kmの地点。 利根川の右岸堤防から南へ150m、 出来島と間々田の境界に位置する、 雷電神社の境内にある。花崗岩製で 14.5cm角、地上高は57cm(基部の 露出部25cmを含む)。 頂部には直径35mm、高さ15mmの 半球体(水準点)が施されている。 南東北西の面にそれぞれ、不(几号)、 B.M.、基標 No.44、埼玉縣とある。 →この付近の利根川 |
↑几号の水準点 (タイプ1:基標 No.39) 埼玉県大里郡妻沼町八ッ口、伊勢神宮 刀水橋(利根川)の右岸橋詰から南東へ 2.5Kmの地点。伊勢神宮は県立妻沼高校 から東へ600mの地点に位置する。 鳥居は立派なのだが社殿はなく、 小さな祠が二基祀られているだけである。 境内の北側には備前渠用水の流末が 流れている。標石は花崗岩製で14.5cm角、 地上高72cm。頂部の半球体は直径35mm、 高さ14mm。西南東北の面にそれぞれ、 不(几号)、B.M.、基標 No.39、埼玉縣。 →この付近の利根川 |
↑三角点 埼玉県大里郡妻沼町大野 利根川の右岸堤防に隣接した稲荷神社の 境内、社殿の前にある。この付近の 利根川の河川敷には、グライダー練習場と 葛和田の渡がある。標石は花崗岩製で 一辺が15cmの角柱、地上高は21cm。 頂部には三角点(十字の掘り込み)が 設けられている。頂部の四隅は面取り されているようだ。三角点と刻まれた面の 右上隅に三とあるので三等三角点だろう。 三角点の周囲には社殿の改築で コンクリートが打たれているが、 2つの標石保護石が残っている。 |
↑几号の水準点 (タイプ1:基標 No.36) 埼玉県大里郡妻沼町弁財、厳島神社 弁財交差点(県道59号羽生妻沼線と 県道263号線)から北西へ150mの地点。 厳島神社の境内、鳥居から西へ20mの 地点、県道59号線に面した場所に 倒れたまま埋まっている。 掘り起こして確認したところ、標石は 花崗岩製で15cm角、頂部の半球体は 直径35mm、高さ15mm。 南、東を向いた面にそれぞれ基標 No.36 埼玉縣。ここは利根川の右岸堤防から 南西へ600mの地点である。 |
↑几号の水準点 (タイプ1:基標 No.35) 埼玉県大里郡妻沼町葛和田、神明宮 利根川の右岸堤防から南西へ150mの地点。 神明宮の境内、鳥居の西、塀の脇にあるが ほとんど埋まっているので探すのは困難だ。 No.36と連番だが、設置間隔は意外に 大きく、直線距離で約1.8Kmもある。 この付近の利根川には今も、渡し(渡船)が 運行している。葛和田の渡しという。 標石は花崗岩製で15cm角、地上高2cm。 頂部の半球体は直径34mm、高さ12mm。 東北西南の面にそれぞれ、 不(几号)、B.M.、基標 No.35、埼玉縣。 |
(注)埼玉県では明治30年代には、主要河川にかなりの数の小三角点が
設置されていた。それらは河川台帳の作成に伴い、石造りで建て直された形跡がある。
例えば明治33年(1900)の埼玉県議会の土木費予算審議では、
河川台帳調製費の内容について、議員から質問があり、
埼玉県の技師が以下のような答弁を行なっている。
”これは荒川の河川台帳と渡良瀬川、江戸川、権現堂川の小三角点を
石標に引き替える費目及び利根川の測量をし直す見込みである”
→ 埼玉県議会史 第2巻、埼玉県議会、1958、p.927
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