続・古い水門 (2)_ 6a 10 続・古い水門の一覧

元荒川支派川改修事業で建設された堰 (その2)

 杣殿分水堰
↑杣殿分水堰 (そまどの)
 
忍川、埼玉県熊谷市上之(かみの)
 建設:昭和9年(1934)6月、ゲート1門
 下流100mにある
杣殿樋管(1903年建設の
 煉瓦造りの樋門)の代替として建設された。
 堰に併設された橋は、長さ4.9m、幅3.8m。
 桁の側面にはスリット状の装飾が施されている。

  北根堰
 ←北根堰(上流右岸から撮影)
 
旧忍川、埼玉県行田市小針
   〜北埼玉郡川里町赤城
 建設:昭和7年(1932)、
 ゲート3門

 農業用水取水のための水門。
 下流側には旧・旭橋が
 併設されている。
 北根堰の堰柱天端には
 ヴォリュート(渦巻き状の装飾)が
 設けられている。これは元荒川
 支派川改修事業で建設された堰に
 顕著な装飾である。イオニア式
 (西洋建築の古典的柱頭様式の
 一つ)を意識したのだろうか
 左岸の側壁には銘板が
 付けられていたようである。

 玉野用水取入樋管
↑玉野用水取入樋管 (たまのようすい)
 
酒巻導水路、埼玉県行田市桜町(さくらちょう)
 建設:昭和8年(1933) →
 玉野用水取入樋管の詳細
 元荒川改修事業で建設された水門は、堰柱の天端に
 渦巻き状の装飾が施されているものが多いが、
 この水門には小鳥のオブジェが置かれている
 欄干の開口部はレンズ形、中央には
 
新佐賀橋(元荒川、北足立郡吹上町)とほぼ同じ、
 ゴシック調の花びらの装飾が施されている。


  
旧・柴山伏越の欄干
 ←旧・柴山伏越の欄干
 (
元荒川、蓮田市高虫)
 建設:昭和4年(1929)

 柴山伏越から下流200m、
 
緑のヘルシーロードの中に
 保存されている。
 写真奥は見沼代用水路。
 欄干中央の柱は、
 塔を意識したデザインであり、
 細かな装飾も施されている。
 欄干のデザインは複合アーチ。
 欄干開口部は2段のアーチで
 構成されている。
 同じ形式の欄干は、
 
午の堀橋(加須市)でも
 見られる。

 酒巻導水路樋管
↑酒巻導水路樋管(吐口) 下流から
 (
福川、埼玉県行田市北河原)
 建設:昭和8年(1933)、昭和44年改築
 面壁の幅は約5.5m、翼壁長は4.6m。通水断面は
 矩形で幅は90cm(推定)。吐口の面壁には、
 [導水路元圦 昭和44年3月改築竣功]と記された銘板が
 付けられている。飾り柱(ピラスター)と見事な曲線を
 描く翼壁には、建設当初のレトロな面影が残っている。

  白幡伏越
 ↑白幡伏越(下流から)
  (
星川、埼玉県行田市斎条)
  建設:昭和8年(1929)
   この伏越によって、星川の下を農業排水路が横断している。
  酒巻導水路樋管と同様に、面壁と翼壁は曲面施工されている。
  面壁の幅は約2.4m、翼壁長は1.8m。

  通水断面は円形で直径50cm(推定)。
  装飾がまったくない素朴な意匠である。

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