石橋供養塔 (岩槻市)_  埼玉県の橋供養碑


 石橋供養塔
 石橋供養塔 元荒川(左岸)
 埼玉県岩槻市上野

 
県道65号岩槻幸手線(かつての
 日光御成道)の[工業団地入口]
 交差点内、北側の歩道脇にある。
 元荒川の慈恩寺橋から北へ400mの
 地点だが、石橋が架けられていたのは、
 この塔のすぐ北側を流れる山城堀で
 あろう。山城堀は現在、古隅田川
 源流の一つとなっている。
 塔は高さ116cm、幅35cm、奥行23cm。
 天明元年(1781)十二月建立
 正面上部には、阿弥陀三尊の種子。
 右側面に建立年、左側面には
 発願 関根善右衛門 座珍
 上野村中 近郷在町助力
   石橋拾ヶ所供養塔
   石橋拾ヶ所供養塔 
綾瀬川(左岸)
   埼玉県岩槻市馬込1160付近

   県道322号の関橋の交差点から東へ700m、
   二叉路に祀られている。南側にはゴルフガーデンがある。
   地蔵菩薩と文字の彫り込みが非常に美しい。
   安永六年(1777)二月建立 馬込村中
   左側面に助成村近郷村々
   10箇所の石橋を供養したものだが、
   設置地点が辻(交差点)なので、塞ぎ(ふせぎ、
   一種の結界)の意味合いが強いと思われる。
   村に入り込む悪霊や厄病を防ぐためのものだ。
   隣りにあるのは、安永九年十一月建立の庚申塔。

 奉供養石橋建立
 奉供養石橋建立 元荒川(右岸)
 埼玉県岩槻市平林寺524付近

 赤坂沼から南東へ200mの路傍に
 祀られている。石材は自然石だが、
 板碑のように薄いものではない。
 橋桁に使われていた石材を
 再利用したのだろうか。
 寛延三年(1750)十一月建立
 願主
 平林寺 新井吉右衛門

   
奉造立地蔵尊石橋供養佛
   奉造立地蔵尊石橋供養佛 元荒川
   岩槻市飯塚、法華寺(ほっけじ)

   法華寺は鎌倉時代に創建されたと
   される古刹。この寺には後醍醐天皇や
   足利尊氏が発行した古文書が
   残されている。頂部に地蔵の坐像。
   高さ95cm、幅32cm、奥行20cm。
   寛保元年(1741)十一月建立
   村々勧化衆中現当二世安楽
   飯塚村
 願主 荻蔦道

   奉建立石橋供養佛
   奉建立石橋供養佛 綾瀬川(左岸)
   岩槻市鉤上新田(かぎあげしんでん)

   東武リズム幼稚園の東側の交差点の
   脇の地蔵堂に祀られている。
   昭和54年(1979)に叺口地蔵尊をここに
   移動し、そのさいに御堂も新築したようだ。
   高さ99cm、幅29cm、奥行19cm。
   延享五年(1746)四月建立
   頂部に地蔵の立像と種子。
   施主
 村方講中 志施主 隣郷十八箇村

 石橋竣工之碑

  石橋竣工之碑
  岩槻市本町一丁目、八雲神社

  八雲神社の歴史は古く、
  永禄年間(1560年頃)にまで遡れるという。
  江戸時代には牛頭天王社と称されていたが、
  明治時代になると、八雲神社に改められた。

  この碑は高さ56cm(頂部が欠損)、
  幅18.5cm、奥行15cm。
  正面に停車場道 春岡道
  右側面に世話人5名、
  背面に手間寄付者が30名。
  建立年は不明だが、停車場道と
  記されているので、大正13年(1924)以降だと
  思われる。岩槻市内を最初に開通した鉄道は
  武州鉄道だった。なお、春岡道とは
  北足立郡春岡村へ通じる街道のことだろう。
  春岡村は明治26年(1893)に丸ヶ崎村、深作村などが
  合併して誕生したが、昭和30年(1955)には
  大宮市へ合併して消滅した。
 

(補足)岩槻市に存在した石橋
 武蔵国郡村誌の11、12巻(埼玉郡)から、現在の岩槻市の区域に存在した石橋を集計したのが、
 下記の表である。郡村誌は明治9年の調査を基に編纂された。標目数が多いうえに記述も詳細で、
 極めて優れた書である。しかし、あくまでも村誌であり橋梁の悉皆調査書ではない。
 実際に存在した石橋の数は、下記の集計(合計10基)よりも、もっと多かったはずである。

村名 橋名 記述内容 ページ
高曽根村 砂久保橋 砂久保道に属す 村の西方 悪水の中流に架す 長七尺巾五尺 328
下新井村   風間堀に石橋一ヶ所あり 340
浮谷村 小橋 岩槻道に属す 村の東方 小溝に架す 長五尺巾一間三尺 343
真福寺村 谷頭橋 村道に属す 村の西北にありて悪水堀の上流に架す 長五尺巾四尺 346
鶴台橋 村道に属す 村の西方 悪水の中流に架す 長五尺巾四尺  
捻橋 村道に属す 村の西南 悪水堀の下流に架す 長五尺巾四尺  
捻橋 岩槻道に属す 村の西南 悪水堀の下流に架す 長五尺巾四尺  
横根村 柳原橋 柳原道に属す 村の東方 柳原用悪水堀の中流に架す 長二間巾五尺 349
加倉村 小切所橋 旧日光御成道に属す 村の寅の方二町三十間 悪水落堀に架す本村より岩槻町へ通す 長二間巾三間三尺 356
谷下村 境橋 村道に属す 村の南の方 悪水落堀の下流に架す 長七尺巾六尺 柏崎村へ通す 359

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