石橋供養塔  さいたま市(その1)(その2_  埼玉県の橋供養碑


 橋供養塔
 橋供養塔 旧中山道
 さいたま市北区宮原三丁目226付近

 旧中山道の宮原駅入口交差点から
 300m南の道路脇にある。かつて
 この地点では排水路(現存、幅は
 約0.8m)が旧中山道を横断していた。
 旧中山道には、ここから600m北にも
 天神橋という石橋が架けられていて、
 今でもバス停の名に残っている。
 なお、付近の道路には昭和初期の
 
天神橋の欄干(石造り)が現存する。
 高さ95cm、幅41cm、厚さ24cm。
 宝暦九年(1759)八月建立。願主1名
 種子はキリーク(阿弥陀、千手観音)
   石橋供養塔
   石橋供養塔 見沼代用水西縁(右岸)
   さいたま市北区本郷町1872付近

   本郷第五公園の北端、見沼代用水
   西縁の上坂口橋の右岸橋詰にある。
   西縁に架けられた石橋を供養した塔
   ここにはかつて見沼代用水の
   本郷河岸があった。
   左側面には昭和6年(1931)10月に
   改築と記されているが、塔本体は
   石の状態から、かなり古いものだと
   思われる。願主2名が刻まれている。
   高さ108cm、幅38cm、厚さ23cm。
   宝暦七年(1757)正月建立。
   庚申待石橋供養
   庚申待石橋供養
   埼玉県さいたま市北区大成町四丁目、稲荷神社

   国道17号線の大成町四丁目交差点から
   南西へ100mに位置する稲荷神社内に、
   2体の庚申塔と共に祀られている。
   この供養塔は、ここから西側150mを
   流れる
鴻沼川に架けられていた石橋に
   関するものであろう。庚申待の講が
   建立した庚申塔だが、石橋の供養を兼ねる。
   高さ61cm、幅30cm、厚さ18cm。
   明和三年(1766)三月建立。
   左側面に願主と思われる11名、
   右側面に碑銘と建立年、武州足立郡大成上村

 石橋供養塔と石橋再建供養塔

 石橋供養塔と石橋再建供養塔
 埼玉県さいたま市大宮区寿能町二丁目
 
芝川に架かる石橋(橋名)の右岸橋詰、
 大宮公園プール駐車場(市営野球場の隣)の
 北側のフェンス脇には2体の石橋供養塔がある。
 石橋が架かる道路(写真の右端)は旧岩槻道。

 石橋供養塔
 高さ116cm、幅39cm、厚さ24cm。
 安永六年(1777)七月建立。
 左側面には14の助成村が刻まれている。
 ほとんどが近隣の町村だが、興野町(与野市)や
 岩附宿(岩槻市)も記されているので、この街道が
 重要かつ利用度が高かったことが推測される。

 石橋再建供養塔
 高さ159cm、幅36cm、厚さ20cm。
 嘉永五年(1852)四月建立。
 安永六年に架けられた石橋(大和田橋?)の
 再建のさいに建立されたものであろう。
 世話人9名、助力46村と共に、角井駿河守とある。

 石橋供養塔

 石橋供養塔
 埼玉県さいたま市西区内野本郷427
 八雲神社の西側、住宅地に囲まれた地蔵院墓地にある。
 地蔵院は永禄年間(1560年頃)に清河寺の和尚によって
 開設されたが、その後、明治期に清河寺へ統合された。
 墓地だけは、この地に残っている。
 この石橋供養塔は本来は、花の丘公園付近(さいたま市西新井〜
 上尾市戸崎)にあったそうだが、この地へ移築されている。
 地蔵院の敷地内にある敷石供養塔と巡礼供養塔も
 同じく、どこからか移築されたものだろう。
 この石橋供養塔は浅間川に架けられた石橋に関するものだろう。
 浅間川はここから500m東で
鴨川の右岸へ合流している。

 高さ112cm、幅39cm、厚さ25cm。
 延享三年(1746)十月建立。
 正面に天下泰平 武州足立郡内野本郷村。
 左側面に、[是より右
 秋葉大権現道]とあり、
 道標を兼ねている。
 右側面には、右以遠近村之志造立とあるので、
 石橋と供養塔の建設に近隣の村々の助力が
 あったことが伺える。

 石橋供養塔
石橋供養塔 鴨川(右岸)
埼玉県さいたま市西区飯田428付近

県道56号線の飯田交差点内に笠付の
庚申像(1689年)、六十六部供養塔
(1776年)と共に祀られている。県道
56号線はかつての川越道、交差点の
北に位置する飯田神社は延喜式内社。
この塔は、ここから北150mに流れる、
鴨川の支線に架けられていた石橋に
関するものだろうか。
宝暦六年(1756)四月建立。
高さ90cm、幅37cm、厚さ21cm。
正面に建立年、碑銘、新井藤七、
武州足立郡植田谷領飯田村中
左側面に念佛講中二十八人、
願主 念正、飯田村 貞休
右側面には近隣の10数村の名前。

   前渡石橋供養塔
   前渡石橋供養塔 鴨川(右岸)
   西区三橋五丁目2220付近

   鴨川に架かる並木橋の右岸から
   北西へ100m進んだ交差点の脇に
   2つに割れたまま放置されている。
   この交差点は平方道と川越道が
   交差する箇所であり、下内野村と
   水判土村(みずはた)との境界付近
   でもあった。塔名にある前渡石橋とは
   現在の並木橋のことだろうか(注)
   安永六年(1777)三月建立。
   高さ85cm(推定)、幅28、厚さ19cm
   正面に天下泰平
 願主 内野村 休心
   この塔は道標を兼ねている。
   左側面に建立年、右側面には
   武州足立郡下△野村 清水某

   大乗妙典石橋供養塔
   大乗妙典石橋供養塔 鴨川(右岸)
   埼玉県さいたま市西区植田谷本66付近

   鴨川に架かる藤橋の右岸、六部堂に祀られている。
   1796年に架けられた初代の藤橋を供養した塔である。
   藤橋の架橋は廻国行者の小平次が近隣の村々を
   勧化し、寄付金を募っておこなわれた。
   六部堂には
小平次の顕彰碑(昭和18年建立)もある。
   写真の奥に見える石材は旧藤橋のもの。
   寛政八年(1796)三月建立。
   高さ201cm(台座を含む)、幅34cm、厚さ21cm。
   正面に種子(阿弥陀、聖観音、勢至)、天下和順
 日月清明
   願主 丹後国宮津下岩瀧組 上沼邑行者
 小平次
   左側面に60数名の寄付金者、右側面に江戸神田 
   筋違御門外
 石工 井筒屋藤兵衛 同 半助 大工 勘助
   背面には世話人が6名記されている。
   台座の三面には84もの助力村の名が刻まれている。

 石橋建立



 石橋建立 鴨川(左岸)
 埼玉県さいたま市大宮区三橋四丁目
 鴨川の境橋の下流左岸、茶臼塚古墳の脇に
 保存されている石橋の石材(2枚)。
 関沼(鴨川)から左岸へ取水する農業用水路に
 架けられていた石橋の遺構だという。
 上に置かれた石材には、石橋建立 側海斗村(側ヶ谷戸村)
 観音講中 願主15人の氏名が記されている。
 下の石材には文化九年(1812)の銘がある。

 長さ154p,幅36p,奥21p。
 明和六年(1769)十一月建立。

(注)この付近の地名の三橋とは、鴨川に架かる3つの橋(並木橋、内野橋、藤橋)が起源だとされている。

(補足)さいたま市に存在した石橋
 武蔵国郡村誌の足立郡(1、2、3巻)から、現在のさいたま市の区域に存在した石橋を集計したのが、
 下記の表である。郡村誌は明治9年の調査を基に編纂された。標目数が多いうえに記述も詳細で、
 極めて優れた書である。しかし、あくまでも村誌であり橋梁の悉皆調査書ではない。
 実際に存在した石橋の数は、下記の集計(合計74基以上)よりも、もっと多かったはずである。

町村名 橋名 記述内容 ページ
大門町 石橋 縄手道に属し町の東北 伝右川の下流に架す 長四間巾一間 285
中野田村 村道に属し村の東端 用水の下流に架す 長九尺巾六尺 325
下野田村 野道に属す村の中央 天久保用水の上流に架す 長七尺巾一間 329
野道に属す村の中央 天久保用水に架す 長七尺巾一間  
代山村 弁天脇橋 村道に属す村の中央 用悪水の下流に架す 長六尺五寸巾四尺五寸 344
後谷つ橋 村道に属す村の中央 用悪水の下流に架す 長六尺五寸巾四尺五寸  
堀崎村 上橋 岩槻道に属し村の中央 間堀の中流に架す 長六尺巾五尺 385
門前村 龍ヶ谷橋 岩槻道に属し村の南方 悪水の下流に架す 長六尺巾五尺 397
両換橋 岩槻道に属し村の南方 悪水に架す 長五尺巾四尺  
大谷村 岩槻道に属し村の北方 用水の下に架す 長九尺巾四尺 403
瀬ヶ崎村 村道に属す村の南方 溝の下に架す 長八尺巾六尺 15
領家村 天王橋 岩槻道に属し村の西方 古芝川の上流に架す 長一間巾五尺 17
中尾村 浦和道に属す村の中央 堀の中流に架す 長一間二尺巾一間 25
村道に属す村の南方 堀の下流に架す 長一間二尺巾一間  
浦和道に属す村の中央 堀の中流に架す 長一間巾五尺  
太田窪村 二つ橋 村道に属し村の北方 用悪水の上流に架す 長一間半巾一間 50
狐橋 村道に属し村の西南隅 用悪水の下流に架す 長一間半巾一間  
浦和宿 中山道に属す宿の北方 悪水の上流に架す 長一間巾二間 58
中山道に属す宿の南方 悪水堀の上流に架す 長一間巾二間  
中山道に属す宿の南方 悪水溝の上流に架す 長一間巾二間  
文蔵村 村道に属し村の中央 見沼代用水分水の中程に架す 長八尺巾六尺 77
奥田橋 村道に属し村の東南 見沼代用水分水の中程に架す 長八尺巾六尺  
大谷場村 蕨道に属し村の南端 悪水の下流に架す 長二間巾六尺 90
本太村 金井橋 岩槻道に属す村の北方 用悪水の中流に架す 長一間半巾一間 99
馬堤橋 鳩ヶ谷道に属し村の南方 悪水の上流に架す 長一間一尺巾五尺  
曲本村 宮根橋 村道に属し村の南方 堅井堀分水の下流に架す 長四尺巾三尺 105
卯右衛門橋 村道に属し村の中央 堅井堀の下流に架す 長五尺巾四尺  
内谷村 中橋 村中道に属し村の西方 用水の中流に架す 長五尺巾四尺 109
下橋 村中道に属し村の南西 用水の下流に架す 長四尺巾三尺六寸  
  外小石橋数個あり  
井川橋 川岸道に属し村の西方 若宮悪水の上流に架す 長九尺八寸巾四尺  
大野橋 大野道に属し村の西南 中丸悪水の上流に架す 長一間一尺五寸巾四尺三寸  
松本新田 樋尻橋 中道に属し村の南方 東悪水の下流に架す 長一間半巾五尺 125
与野町 榎橋 村道に属し町の東方 悪水の上流に架す 長三間巾二間 129
小村田村 川越道に属し村の中央 小溝に架す 長一間巾四尺 133
並木村 *大橋 川越道に属し村の西方 鴨川の下流に架す 長三間一尺巾一間一尺八寸 142
*小橋 川越道に属し村の西方 鴨川の下流に架す 長一間一尺五寸巾一間  
上落合村 高谷橋道に属し村の東南 高沼用水の下流に架す 長二間巾一間三尺 145
下落合村 浦和道に属す村の中央 高沼用水の中流に架す 長二間半巾一間一尺 149
中島村 村道に属し村の東方 用水の上流に架す 長五尺巾四尺 169
村道に属す 用水の中流に架す 長五尺巾四尺  
村道に属し村の西方 小溝に架す 長五尺巾四尺  
千駄村 村道に属し村の東方 用水の上流に架す 長三尺巾四尺 174
村道に属す村の東方 用水の中流に架す 長三尺巾四尺  
村道に属す村の東方 用水の中流に架す 長三尺巾四尺  
村道に属す村の東方 用水の下流に架す 長三尺巾四尺  
西蓮寺村 村道に属す村の北方 用水の上流に架す 長五尺巾四尺 177
村道に属す村の中央 用水の中流に架す 長五尺巾四尺  
道場村 生橋 村道に属す村の南端 悪水の上流に架す 長一間三尺巾五尺 180
  外用水に架する石橋十ヶあり  
土呂村 村道に属し村の東方 悪水の中流に架す 長八間三尺巾九尺 220
村道に属し村の東方 分用水の中流に架す 長二間三尺巾九尺  
内野村 *橋 与野道に属し村の東南 悪水の下流に架す 長六尺巾六尺 232
*橋 野道に属し 悪水の中程に架す 長五尺巾四尺  
*橋 野道に属し 悪水の下流に架す 長五尺巾四尺  
上内野村 *橋 与野道に属し村の東南 悪水の下流に架す 長五尺巾六尺 235
*橋 野道に属し 悪水の中流に架す 長五尺巾四尺  
*橋 野道に属し 悪水の下流に架す 長五尺巾四尺  
下内野村 *並木橋 与野道に属し村の南少東 鴨川の下流に架す 長三間巾一間三尺 238
*並木小橋 与野道に属し村の南少東 並木橋に並架す 長一間巾五尺  
側ヶ谷戸村 *藤橋 村道に属し村の南方 鴨川の下流に架す 長四間巾九尺 247
村道に属し村の西方 用水の上流に架す 長一間巾四尺  
植田谷本村 *藤橋 村の東方 鴨川の下流に架す 長四間四尺巾一間 259
佐知川村 川越道に属す村の南方にあり 長九尺巾六尺 312
遊馬村 吾庵橋 村道に属し村の申の方 江川の中流に架す 長六尺巾四尺 320
清河寺村 光明橋 川越道に属す村の西方 悪水の上流に架す 長五尺巾五尺 329
内野本郷村 上橋 川越道に属し村の東北端 悪水の上流に架す 長六尺巾五尺 332
辻村 川越道に属し村の東南 悪水の上流に架す 長七尺巾四尺 361
吉野原村 村道に属す村の北方 悪水の下流に架す 長一間巾二間 387
今羽村 *舟橋 岩槻道に属し村の東北 悪水の上に架す 長二間巾七尺 390
加茂宮村 鍛冶橋 川越道に属し村の西方 鴨川の上に架す 長五尺巾六尺 405
天神橋 中山道に属し村の中央島屋福島屋の前 悪水溝に架す 長六尺三寸巾二間  
別所村 村道に属し村の東方 用悪水に架す 長八尺巾一間 46
奈良瀬戸村 川越道に属し村の東方 逆川の中流に架す 長四尺巾四尺 48

(注)*を付けた橋は二村に跨るもの。


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