石橋供養塔 (蓮田市)_  埼玉県の橋供養碑


 
奉納大乗妙典石橋建 元荒川(右岸)
 埼玉県蓮田市井沼578付近

 久伊豆神社の北端、清水工業団地に
 面した道路の脇に祀られている。
 経典供養を兼ねた小さな塔である。
 この塔は元から文字の彫りが
 浅いのだろうか、表面の風化が
 激しく、建立年は判読不可である。
 しかし、安永から天明期にかけて、
 この供養塔と同一の施主による、
 石橋供養塔がこの付近に3基も
 建立されていることから、建立は
 1780年頃であろう。
 高さ40cm、幅15.5cm、厚さ12cm。
 施主 斎藤嘉右衛門
   奉納大乗妙典石橋供養
  奉納大乗妙典石橋供養 元荒川(右岸)
   埼玉県蓮田市井沼

   この塔は←の供養塔から50m東側の
   地点に倒れたまま、放置されている。
   この小道(かつての鎌倉街道、脇道)は
   元荒川右岸の微高地に沿っていて、
   周囲には雑木林が広がっている。
   小道の脇を流れる水路は後塚落と
   呼ばれる農業排水路。蓮田市根金で
   元荒川の右岸へ合流している。
   合流地点には明治時代に建設された
   
煉瓦造りの水門(皿田樋管)が残る。
   安永七年(1778)二月建立。
   高さ92cm、幅26cm、厚さ13cm(推定)。
   埼玉郡井沼村
 施主 斎藤加右衛門
   石橋供養
   石橋供養? 見沼代用水(右岸)
   埼玉県蓮田市駒崎370付近

   星久院の南東200m、(株)ウィンテックの脇の
   十字路にある。もともとは
綾瀬川の付近に
   あったのだが、この地点へ移築されたのだという。
   移築のさいに本来なら、地中に埋めるべき部分まで
   地上に出しているので、高さは約1mあり、
   見た目は非常に細長い。
   文政九年(1826)十月建立。
   高さ99cm、幅25cm、厚さ13cm。
   モダンアート風の外観を呈しているが、
   正面に見られる種子のような模様は損傷跡。
   側面の摩耗も酷い。左側面には世話人
   (駒崎の三名以上)。きさい、しょうぶ、
   いわつき、じおんじへの道標を兼ねている。

 石橋供養
 石橋供養 見沼代用水(右岸)
 埼玉県蓮田市閏戸、薬師堂

 現在は薬師堂(蓮田市立北小学校の
 東側)の中に置かれている。ここから
 400m西側の
吾庵橋(見沼代用水)の
 付近から移築したものだという。
 外谷橋(武蔵国郡村誌8巻、p.399、
 閏戸村にあった石橋)のものだろう。
 寛政十年(1798)二月建立。
 高さ99cm、幅37cm、厚さ29cm。
 正面に願主 武州埼玉郡中閏戸村
 八右ェ門、上閏戸村中
 左右の側面は北東(久喜、幸手)、
 南西(原市、上尾)への道標を
 兼ねている。この供養塔は文字の
 彫りが浅く、技巧も非常に稚拙である。
 農民自らがノミを握ったのだろうか。

   石橋供養塔
   石橋供養塔 十五ヶ所
   見沼代用水(左岸)
   埼玉県蓮田市蓮田1960付近

   前橋(見沼代用水)左岸、JR東北線の
   踏切の南側の辻(交差点)に庚申塔と
   共に祀られている。ただし、前橋は
   武蔵国郡村誌11巻、p.394、蓮田村の
   項には石橋ではなく土橋とある。
   この付近は伊奈町、蓮田市、上尾市、
   さいたま市の境界である。
   ここから西へ300mには
瓦葺伏越がある。
   延享四年(1747)十月建立。
   高さ81cm、幅37cm、厚さ29cm。
   下蓮田村
 願主 ?永(僧侶であろう)
   正面に地蔵菩薩の坐像と南
 いわつき、
   側面に東
 志をんじ(慈恩寺?)道、
   西 はらいち道。この供養塔は
   道標(道しるべ)も兼ねている。

   
孝心石橋供養塔
   孝心石橋供養塔 新堀(左岸)
   埼玉県蓮田市江ヶ崎

   岩槻市古ヶ場(写真の奥)との境界付近。
   江ヶ崎という地名は海に面していた名残りであろうか。
   八幡神社から北西へ250mの農道の脇に
   倒れたまま放置されている。しかも供養塔は
   2つに割れている。ここから300m北東の白根橋の
   袂には江ヶ崎村が建てた道標も残っている。
   この石橋供養塔の建立年は判読不可。
   高さ170cm、幅34cm、厚さ19cm(推測)。
   非常に細長い形状の供養塔であり、下部を
   地中に埋めて設置していたようだが、その状態でも
   高さは1.1m位になり大きい。正面上部には
   富士山と思われる浮き彫りが施されている。
   富士講(不二道孝心講)との関わりもあるのだろうか。
   下部には20人(内.女性8人)の連名がある。
   右側面は、よしみ、こうのすへの道標を兼ねていて、
   ここがかつては重要な街道であったことを偲ばせる。
(参考文献) 井沼の石造物、蓮田市教育委員会、1999

(補足)蓮田市に存在した石橋
 武蔵国郡村誌の11巻(埼玉郡)から、現在の蓮田市の区域に存在した石橋を集計したのが、
 下記の表である。郡村誌は明治9年の調査を基に編纂された。標目数が多いうえに記述も詳細で、
 極めて優れた書である。しかし、あくまでも村誌であり橋梁の悉皆調査書ではない。
 実際に存在した石橋の数は、下記の集計(合計8基)よりも、もっと多かったはずである。

村名 橋名 記述内容 ページ
閏戸村 外谷橋 村道に属す村の西方 綾瀬川の下流に架す 長二間巾六尺 399
駒崎村 大針橋 村道に属す村の西方 綾瀬川の上流大橋の下にあり 長三間巾九尺 411
上平野村 玄蕃橋 村道に属す村の西方 綾瀬川の上流に架す 長二間巾一間 414
高虫村   此外用悪水路に架する石橋五ヶ所 土橋二十二ヶ所ありと雖も小橋にして載するに足らず 418

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